成功は居心地が悪い

　昔ながらの昭和銭湯が好き、と言うことは、逆に言えば新しい時代の価値観に
馴染めていないと言うことでもある。単純に歳を取った、と言われればそうかも
知れないが、私の銭湯愛好歴は優に20年を超えるもので、ここ最近のことではな
い。
　モテない、と言うのも今考えるとそう思い込んでただけで、実は慕われていた
と思われる女性はそれなりにいる。しかし、慕われていることを認めるのを嫌が
る自分がいた。分かりやすく言えば、愛情より自由を選んだと言うことだが、そ
れは思想であって恋愛のような感情とは別だ。
　前にも書いたが私は人生の主人公になんかなりたくないのだ。あくまでも人生
の観賞者でいたいのだ。だから自分はアイドル「ヲタ」よりも、本質はアイドル
「評論家」である。
　つまり、舞台に上がること自体が苦手。別に私は、「金持ちになりたい」だの、
「有名になりたい」だの、といった欲望丸出しの人間の対極の、控えめでおどお
ど生きている、と言う人間でもない。世界の真ん中に行くより、世界の端っこで
「自分だけの王国」を作って住みたい、と言うこと。
　自分にとって日本人だとか、○○大学出身、などの肩書き、ないし属性はどう
でも良いこと、これも繰り返し言ってきた。そうではなく、そういう属性が端か
らない世界に住みたいのだ。なんか中学校の中間テストに始まり、人間は一生他
人からの評価によって生きなければならないのか？それだけで私には人生が(どん
な夢を持とうが、どんなに金持ちになろうが)監獄でしかない、と感じる。誰から
も評価されない世界、それが私の理想の世界。