日本人の差別意識と欧米人の差別意識の違い

　同じ差別意識でも、日本人と欧米人とでは違うのではないか、と言う仮説。日
本人も欧米人も、よそ者に対して警戒心が働くのは同じだが、差別意識は少し違
う気がする。
　欧米人の差別は分かりやすい言い方をすれば、肌の色である。見た目で判断、
と言う点では、日本人が刺青を嫌うのと似ているかもしれない。とはいえ、可視
化可能なサインで差別意識が働くのは普遍的なものであまり意味がない。
　どちらかと言うと、欧米人は「格下」だと思っている人種に差別意識が働く。
黒人は長い間主人と奴隷と言う関係にあった訳だし、他の有色人種もまた、帝国
主義時代に大航海で征服してきた地域の民族だと見なす。現在の中東シリアから
の難民に向けられる視線も基本的に変わっていない。
　一方、日本人の差別意識は格下、格上と言う基準の価値観は当てはまらないよ
うな気がする。中国や韓国にしても、古くは様々な文化(漢字とか仏教とか)の輸
入元はアジア大陸であり、下手をすると「格上」でさえある。今日、近代史の修
正主義revisionism によって無理やり格下の印象が流布されてはいるが、長い歴
史で獲得された意識ではないと思われる。
　むしろ、自分たちより「強い」と感じるからこそ、差別意識が働くのではない
か。そのことは刺青を差別するところからも感じられる。
　逆に考えると、日本人は目上の人間に過剰に従う傾向がある。もちろん、風刺
などで目上の人物を批判する精神がない訳ではないが、基本的に目上の人と対等
に接することが非常に苦手な民族と言える。東アジア人や刺青(それにしても、
昇り竜とファッションタトゥーをいっしょくたにするのは、冷静に考えて大雑把
過ぎるな、と思う)の差別は目上の者、支配者に対するに対する過剰反応が、日本
人の差別意識のベースではないか、と言うのが私の仮説。