コードトーカー

　先日、「アメリカは英語１つだけ公用語にせず、先住民最大の部族語、ナバホ
語も公用語にせよ」と言う主張をしたが、調べていくと、こりゃ公用語にできる
訳ないよな、と言う理由が見つかった。ナバホ語はかつて太平洋戦争時代にコー
ドトーカー（暗号部隊）のベース言語だったのである。つまり、日本軍にナバホ
語を解する人間がいない、と言うことで、軍事指令をナバホ語（もちろん暗号で
あるから、生のナバホ語ではなくそれをさらに暗号化している。なので、アメリ
カ国内で普通の暮らしをしているナバホ人も簡単には解読できない）で行ってい
たのだ。そりゃ暗号のベース言語を公用語にするなんてあり得ない話な訳だ（そ
れ以前にも、コマンチ族の言語がコードトーカーに使用されていたらしい）。
　逆に言えば、私は英語みたいな「世界の均質化」を象徴するような言語より、
コードトーカーに使われるような滅亡の危機にある言語に興味がある。遠く離れ
たシベリアのケット語とも類似関係があると言う学説もあり（両者はデネ・エニ
セイ語族と言う分類がされている）、ケット語とナバホ語の比較が今一番の関心
事である。