寝台列車

　最近は超高級仕様の寝台列車がブームらしい、チケットが瞬殺されると言うが、
これもブルトレ世代には訳の分からない話。
　Ｂ級寝台列車が好きだった（と過去形でしか語れなくなったのが寂しい）理由
は、朝目覚めて時間をもて余している時に同室になった見知らぬ他人と旅を共有
することにあると思っている。プライバシーを気にしすぎて、個室仕様の寝台し
か売れなくなってブルトレが消えてしまった今の時代、旅の醍醐味が根本から壊
れてしまったのだなあ、と思う。
　先ほどの記事で書いた通り、コンピュータシステムに個人情報を預けるととん
でもないことになる。その一方で、対面で人と知り合う、と言う経験が社会から
排除されていることは大丈夫なのだろうか。昔の人種差別は階級制度（上の階級
に属する人々と下の階級の人々が相容れない社会）から来ているが、現代の人種
差別は階級制度がなくなった中で、様々な出会う機会がある中で、互いの理解不
足で生まれている。組織の中でうまく立ち回るノウハウはビジネス書としてたく
さんあっても、プライベート空間での出会いはバーチャル空間が増えている。旅
は出会いをリアルに取り戻すことにこそ（有名な観光地をごく身近な人と行くの
も良いが）意味があるのではないか。路線バス旅ブームの一方で、また変な高級
志向はどうにも違和感を感じる。