クレヨンしんちゃん 2/17

　フランス人形の怪談話がしんちゃんのいたずらで現実化して卒倒するような恐
怖を味わうマサオ君のお話。しんちゃんのいたずらと言うことで笑い話にはなっ
ているが、僕はガチでおびえるマサオ君にメッチャ共感。
　あの怪談のモチーフは「表情のないフランス人形が（ご主人様を探し求めるよ
うな）心を持ったら、どんなに怖いか」と言うものである。人間は心を顔の表情
で表すことができるので、あの人形と同じシチュエーションの子にはむしろ同情
する。表情がないから怪談になる。
　とはいえ、人間だって感情が100%表情に現れる訳ではない。最近の極端な例が
金正男氏暗殺だ。工作員の手口とか、その裏にある政治的策略とか、私の感心は
そこではない。権力闘争の中で実の兄、世界にたった一人しかいない大切な兄を
殺してしまうと言う弟、正恩の気持ちである。そんなものは本人も絶対に言わな
いだろうが、それこそしんちゃんがフランス人形でパロディ化した「表情のない
人形のような人間」の怖さである。人形を怖がる前に、人間にもあのように心を
表に出さない人間はたくさんいる。
　他にも、清水富美加ちゃんもそうだ。役者と言うお仕事、ガラスの仮面的に言
えば「別の人生を歩むことができる」ことが醍醐味と言える職業ではある。しか
しその一方、役になりきるために自分を押し殺すことが日常的に求められる仕事。
時には役にのめり込み過ぎて自分と言うものを見失う危険性もある怖い職業であ
ることを彼女はもっと早く気づくべきだった。女優業の中で自分を押し殺すこと
で彼女は自分を見失った。ついでに言えば、ここは暴露本なんか出すより、いっ
そのこと独特の文才を生かして、又吉直樹のように小説を書けば良かったのに、
と思う。別に小説がフィクションである必要はない。むしろ波瀾万丈な自分の人
生を投影した物語を書けば、そこには大人たちの思惑を離れた“等身大の清水富
美加”を表現できたに違いない。
　イイネ！欲しさにプライベートを偽造するインスタ女子、そして多くのFacebook
利用者も、そうした「仮面に依存して本当の自分を見失っている」人たちに、現
実に早く気づいて欲しい、と思うのである。
＃と言う訳で、完全にクレヨンしんちゃんから脱線（笑）。