[MOVIE] スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2@イメージシアターフォーラム(渋谷)


<2016/Oct/15(Sat)>

 今週末は渋谷で夜遊び。先ずはレイトショー。ブラタモリは明日録画で見る。
ポスト構造主義思想で知られるスロベニアの哲学者が映画の名作をリエディット
した作品と聞けば、見に行かない訳には行かない。表参道から歩く。青山劇場っ
て今工事中なのか。余裕を持って家を出たつもりだが、ついて見たら上映5分前
到着。
 果たして、様々な映画を引用しながら、ジジェク氏本人がお決まりのツバを飛
ばすようなダイナミックなプレゼンテーションをする極めて楽しい大学のレクチャ
みたいな作品。サウンドオブミュージック、ウェストサイド物語、レオナルドディ
カプリオのタイタニックのような誰でも知っている作品から、レニ・リーフェン
シュタールの隠れた作品、ハリウッドでありながら商業主義を批判すると言う希
有な作品まで、素晴らしくポストモダンな氏の講義口調を盛り立てる作品の数々。
 個人的に面白かったポイント、無神論を考えるならキリスト教を学ぶべき、と
言う主張。確かに、神の子キリストを殺した、と言うのはかなり異例な物語をベー
スとした宗教だ。
 そしてむしろ、社会主義、共産主義もまた、「大文字の他者big others」を想
定している点で完全な無神論ではないと言う。
 彼の手にかかれば、共産主義はもちろん、資本主義も宗教も分厚いヴェールの
下を露にしてくれる。
 他にも興味深いテーマが数多く散りばめられ、クスッと笑えるシーンがありな
がらも、難解さとは裏腹の明解なクリティシズムが展開され、固定的なフレーム
ワーク=イデオロギーに支配されたテレビや映画よりはるかに痛快で面白い。作
品と言うより哲学講義のプレゼンテーションとして大変分かりやすく、優れた作
品。オススメ。