事実と価値

　例えば聖書には科学的に説明できない奇跡miracleがてんこ盛りである。その点
を指摘してキリスト教はいかがわしい宗教だ、と言う人はあまりいないし、信仰
者も「そういう些細な点に深入りするのは信仰心が弱い」と言った物言いになる。
　宗教にはどうしてもそうした客観性を犠牲にしなければ成り立たない部分があ
る。それでも人類は宗教なしにはやっては行けない（無宗教と言われる日本人で
さえ初詣に行かずに済ます人は少ない。ただ、結婚式はやらないカップルが増え
てはいるが）と言う事実。
　そういう意味で、私は科学的客観性をあまり重視しない。根も歯もない噂でい
われのない誹謗中傷になるのはまずいが（魔女裁判みたいなのは困る）、人間関
係とは別に科学の進歩みたいなものには極めて関心が薄い。最近はアメリカのオ
リオン号やら日本のはやぶさ２号やら宇宙開発ニュースがにぎやかだが、宇宙で
神様と出会う目的ならともかく、地球の起源を探るため、なんて話は私にはどう
でも良い。
　いや、私の科学嫌いは人間中心主義＝経済至上主義が行き過ぎて、環境問題や
らエネルギー問題などを引き起こして他の種の生き物にまで迷惑をかけてること
にある。
　宗教は宗教で思い込みが激しく暴走することがあるが、神のような超越した存
在とのコミュニケーションをしようとしない客観性は本当の客観ではない。