日本は本気で戦争をやろうとしている

　教育基本法改正の衆議院強行採決で、また日本は一歩戦争をする国に近づいた。
８月１５日の小泉前首相の靖国神社参拝の流れで、今年は日本が戦争の出来る環
境に一歩ずつ着実に歩みを進めている。このことは、政府（というか自民党？）
が本気で戦争を考えているのだと推測される。つまり、「戦後」は終りを告げ、
時代は「戦前」に入った、と言うのが私の認識。

　以下、その自民党が「本気で」考えている戦争シナリオを勝手に想像してみた。

・開戦理由
　北朝鮮の脅威に対抗するため？それは全くの表面的な言い訳に過ぎない。今の
ところは国連レベルで核実験非難声明を出しているわけで、日本が単独で開戦す
る必要などない。実際にはもう少し遠い将来の話だ。すなわち、少子化により経
済力を始めとした日本の国力が衰退へと向かう中で、国力回復の打開策として、
他国侵略（もちろん表面的には“防衛”を謳うに決まっているが）によって一気
に解決しようとする、と言う筋書き。日本は軍事費世界第２位なのだから、核こ
そ保持していないが相当強力な軍隊だと言える。しかし民主国家としては国民か
らの支持がなければ開戦できないし、そもそもスポーツでも戦争でも、前線に出
て行かない人々の後方支援、すなわち応援は大変重要である（その意味では、Ｎ
ＨＫ大河ドラマ「功名が辻」は「内助の功」と言うキーワードを持って、日本の
戦争支持に間接的に加担している）。そのための教育基本法改正＝愛国心の涵養、
である。
　私は以前、核保有議論を肯定する姿勢を北朝鮮と同じレベルで考える大変野蛮
な発想である旨を述べた。裏を返せば、少子化による国力衰退を見越せば、そう
した野蛮な発想をせざるを得ない時期に来ているのだとも言える。日本の１０年
後、２０年後はもはや先進国ではないかもしれない。

・対戦相手国
　北朝鮮単独が敵ではない。日本にアメリカという後ろ盾がいるように、北朝鮮
には中国という後ろ盾がいるのだから、当然中国と戦争する覚悟が必要になる。
それ以上に、日本が実際に開戦する時期（少なくとも６〜７年後になると読んで
いる、そのくらいの時間をおかないと教育基本法改正の効果＝国民洗脳が完了し
ないからである）にはその絶妙な外交力によって北朝鮮は中韓と対等に渡り合え
る実力を付け、朝中韓の３カ国連合と対峙することになるだろう。金正日をただ
の暴れん坊将軍だと侮ってはいけない、現に今回の核実験はアメリカに「核を保
有していない」と結論づけられ、無罪放免にしてもらった。この外交的な読みは
ただ者ではない。以前も書いた通り、今は世界中から悪役の汚名を着せられてい
るが（もちろん拉致問題は汚名なんかではなく実際にかの国の責任だが、ここで
はアメリカの『悪の枢軸』批判の話である）、彼は一歩間違えればイスラム教圏
におけるアフマディネジャド・イラン大統領や中南米圏のウーゴ・チャベス・ベ
ネズエラ大統領のように、東アジア地域に反米の風潮が広まれば求心力さえ持ち
かねない人物であると考える。
　更に、その頃には日本はアメリカの後ろ盾を失っている可能性が非常に高い。
北朝鮮があのような暴挙に出ながら、米軍基地強化の話がひとつも出てこないの
だから、これは撤退の開始を将来的に示唆する動きだと見ていい。そして、それ
こそが日本が戦争を始める理由である。米軍が出て行ってしまえば、日本は軍事
的に弱くなった、と見られ、外交的にも交渉事の場面でなめられることが多々出
てくる可能性がある。それを否定するためには日本軍（その頃には軍になってい
る）は実力を見せる場面を作らなければならなくなる。
　そんな訳で、敵側は強い連帯力で望んでくるのに対し、日本はアメリカから見
捨てられた状態で戦争に臨むと言う、負けが分かっているような最悪のタイミン
グで戦争を始めてしまう事になる。

・時期
　前述の通り教育基本法改正の効果が出る６〜７年後にはなるだろう。遅ければ
１０〜１５年後かもしれない。教育基本法、そして憲法改正が整い、国民の世論
をうまく誘導できるようになってから、事は始められる。そしてその頃には、北
朝鮮はただの暴れん豪将軍から、小国ながら中国の後ろ盾のある手強い相手にな
り、日本は米軍から見離されて心もとない状態での戦争に突入してしまう事にな
る。

・戦争を防ぐために
　こうして戦争シナリオを書いてみたのは、実際に右傾化が日本に取って致命的
な打撃になるであろう事を分かりやすく示すためだ。このような拙説による警告
以外にも、「戦争放棄国」でいる事のメリットを地道でも粘り強く訴え続けなけ
ればならない。核時代の今、「不戦の誓い」は単に日本の将来のためだけの選択
ではない、人類の未来を切り開くための最重要課題である。