新しい帝国

　クリミアのロシア編入を新しい帝国の形だと言う話を以前したが、より一般的
な新しい帝国として想定されるのはロシアの例ではない。実はロシアはいわゆる
CISと言う旧ソ連邦諸国の共同体があり、EUや中南米のMELCOSURと同様の経済ブ
ロックである。このような地域経済ブロックは21世紀的ではあるが、帝国ではな
い（強いて言えば、こういう経済ブロック体制において東アジアが大きく遅れを
とっていることについては危機感を煽っても良いのではないかと思っている）。
　そうではなく、宗教的地域ブロックが登場したら、一気に21世紀的帝国が世界
を圧倒するだろう、と言うこと。つまり、イスラム教圏が共同体を作ることにな
れば最強の帝国になる可能性が十分にあると言うこと。
　キリスト教圏はすでにEUと言う形で共同体を作った。彼らはすでに各国固有の
文化を持っているので経済ブロック以上の結び付きはあり得ない。しかしイスラ
ム教圏は民族単位の共同体は旧帝国主義で解体されており、むしろ宗派の結び付
きの方が強い。つまり、イスラム教そのものが彼らの文化アイデンティティと
言ってもよい。
　90年前を最後にカリフ（キリスト教カトリックの法王のような存在）が途絶え
ているが、今後復活の可能性がない訳ではない。もしカリフ復興と言う話になれ
ば、イスラム教圏を強固に結び付ける大帝国が生まれるかもしれない。インドネ
シアから北アフリカまでを繋げる大帝国が登場すれば歴史が大きく動く。