人はなぜ寝るのか

　NHKの堂本光一司会の科学番組で人はなぜ寝るのか、と言うテーマの議論があ
り、現代の科学でも解明されていないと言う。その一方、人間は寝ている状態を
本来の姿と仮定して、「人はなぜ起きて活動するのか」と言う問いにすれば、
「食べ物を得るため」としごく簡単に答えが出る。
　多くの人にとっては目からうろこな発想だろうが、私には自然に納得の行く話
である。つまり、「人は生きているだけで価値がある」のである。何か夢や希望
を持ち、何かを成し遂げることに至上の価値がある、みたいな世の中になってい
るが、そもそもそんなことをしなくても、精子と卵子の天文学的な確率の出会い
で生まれた命はそれだけで価値がある。
　オリンピックでは夢や希望や努力が極端に強調されてきた。それはそれで美し
いが、人の生きる価値はそこにある訳ではない。
　ついでに言うと、生きるだけで価値がある、と言う発想からすれば、安楽死な
どあり得ない、どんな事情があろうと患者を生かすべき、となる。でなければ、
植物人間に生きる価値がないのなら本物の植物には生きる価値がないのか？と言
う話である。つまり、植物人間が生きるには医療の助けが必要で金がかかる、と
言う純粋に経済的な問題を巧妙にヒューマニズムでごまかしているだけであると
考える。