宮本邦彦警部８回忌

　なんか雪で外に出られない、と言うのは、寒さを含めて想像以上にストレスを
感じるものらしい。部屋に閉じこもっていると気分が塞ぎ込んでうつっぽい感覚
になりかけ、これはちょっとヤバい、と。当初の予定もあるし、頑張って外出す
る。
　宮本警部の事件を知った７年前も、天候は覚えていないが病床でかなり気分が
落ち込んでいて、そのつらい気分を救ってくれた人である。弱い人でも生きる価
値があることを語る、いや実践する背中を見せてくれる人、そんな人に共感し、
癒しや救いを感じる（僕は都民ではないが、今日の都知事選でもそういう人が当
選すると良いなと思う）。故・宮本警部はまさにそんな後ろ姿を見せてくれ、
メッセージを残し、旅立って行った人。玄関を出た瞬間から銀世界、凍って滑り
やすかったり溶けて水浸しになった悪路を駅まで歩く。
　ときわ台まで１時間ちょっと、こちらはもう少し道の雪がかかれていた。旧と
きわ浴場近くの花屋でお花を買い、駅前交番前の“誠の碑”に手向ける。毎年献
花は軽く緊張する、そもそも宮本警部は“町のおわまりさん”、私のような地域
外の人間が献花するのはちょっとおこがましい気がしてしまう。でもやはり立派
な“町のおわまりさん”には強いシンパシーが消えない。雪道のため、おわまり
さんは交番の外に出て町の人々を見守っている、献花の旨を伝えると、他にもた
くさんある献花があり、供えるスペースを作ってくれた。
　碑に花を手向けたあと、少し町を歩く。商店街を外れるとやはり雪の反射光が
まぶしい。それでもお年寄りやファミリーが結構歩いているのは投票へ行く人た
ち。そんな優しい町にちょっと後ろ髪引かれながら、再び駅から電車に乗る。