原発事故の本当の問題２

　こういう言い方は個人的には好きではないが、一般的な理解の助けにはなるだ
ろう。
　もし平成の現代に「武士道」なるものが残っているのなら、今回の原発事故で
切腹して責任を取る人間がたくさんいたに違いない。もちろん現代社会でハラキ
リはナンセンスではあるものの、今の時代にあった責任の取り方すらしないお偉
方ばかりになってしまったのはどういうことだろう。
　はっきり言って、今の日本に武士道などない、と言うのが今回の事故で証明さ
れたのである（ちなみに、武士道が失われたことに賛同していただけると仮定し
た場合、戦後の平和憲法のせいだと考える人が多いに違いないが、私はすでに太
平洋戦争戦前には破壊されていたと思っている。つまり、武士を自覚した気位の
高い人間が覚悟を決めた戦争ではなく、徴兵と言う形で一般国民にも犠牲を強い
た戦争にもはや武士道などない、と考える）。そして、一度失われた武士道のよ
うな文化を取り戻すには、私は少なくとも100年以上の時間がかかると思ってい
る。だから、「今こそ日本の武士道を」的なかけ声、つまり武士道精神が数年で
取り戻せる、と言う発想はむしろ日本の軍国主義復活に利用されるだけであり、
そういう意味でこうした武士道復活を煽るプロパガンダには懐疑的にならざるを
得ないのである。