自殺論

　先月の現代思想の特集が自殺論。なかなかインパクトのあるテーマである一
方、みんなこの話題避けてるよね？震災後から若干減少の兆しがあるとは聞くけ
ど、３万人超えは相変わらず。つまり、問題をタブー視して有効な解決案を見い
だす努力すら行われていない。問題の本質はそこなのでは？

　つまり、人権問題がないがしろにされる現代においては最も語るべきテーマ。
もちろん、雇用問題など自殺者数に直接影響のある話題はあるけど（あと、老人
介護問題も本誌では関わりの深い話題だと言っている。親の介護で仕事をやめた
人も引きこもり同様の問題）、個人の努力問題にすり替えたりして、自殺問題か
ら意図的に距離を置こうとする声が多すぎる。私としては、原発被害よりも、こ
の自殺問題の背後にあるような、一部の政治家に限らない、国民全体に蔓延する
人権感覚の薄さが日本嫌いにさせている。

　絶望して自殺する、と言うことは、事故や病気はおろか、飢えで死ぬよりも悲
惨な死に方である。この意識を共有して、恵まれた環境に生きる人が悲惨な環境
を理解もせず自己責任論を振りかざすような不毛な議論から抜け出すべき。