people's nation

　先日「売国奴」と言うタームに対する反論記事を書いたのは、もちろんネット
での罵倒の仕方の馬鹿馬鹿しさを揶揄する目的もあったが、それ以上に近年あち
こちでささやかれる「国民国家の衰退」と言うものについて理解するために具体
的なイメージの肉付けを行うための試論であった。例えばEUでの金融危機。少し
前ならアイスランドやギリシャが、現在はキプロスが大変なことになっている訳
だが、これは、今まで国家の衰退や消滅と言うと、外敵から武力的な侵略を受け、
領土を占領されると言う道筋を通った。しかし21世紀のこれからは、企業が倒産
するように、国家がもはや債権者に借金を返せない破産状態に追い込まれて消滅
すると言う全く新しい国家危機が生まれている。
　このように経済的理由で国家が変貌を余儀なくされるのだとしたら、企業が合
併するかのように国家が合併する日が来るかもしれない。より露骨な言い方をす
れば、経済的に強大な国家が他国の土地を50％以上買い占めれば、武力行使なし
でその国を占領したも同然、と言うケースが考えられる。あるいは、政府だけ日
本政府で、国内の主要企業が全部外資企業になったら、日本の国体はもはや日本
と言えなくなる。
　ただ、私は危機感を煽るのが目的ではない。世界の主要なコングロマリットは
アメリカ外資だが、アメリカ国民が潤っている訳ではないし、まだ経済侵略を受
けていない日本も非正規雇用が蔓延する世の中は国内企業も外資企業も関係な
い。そういう国体、経済のあり方の中でどうやって生きていくべきかを考えてみ
たい。