大飯原発再稼働反対デモ＠国会議事堂周辺

　大飯原発再稼働で一気にボルテージが上がった首相官邸周辺のデモ参加へ。主
催者報告で先週は45000人集まったと言う、去年以上に盛り上がっているのはお
そらく消費税増税で国会への不信が一気に急上昇したせいだろう。とにかく、何
が起こっているのかこの目で確かめたかった。
　これはすごい、国会議事堂前駅改札がすでにものすごい人の数でものものしい
雰囲気になっている。武道館コンサートの九段下駅を超えている。駅を出ると
人、人、人。普通の通行人をはるかに凌駕する人の数。明らかに単独の団体だけ
では集められない。そういう参加者の自主性は、シュプレヒコールがあちこちか
ら上がって統制が取れていないことからも分かる。統制が取れていることはむし
ろ特定団体が仕掛けた出来合いのデモと言う意味になる。この無秩序こそが参加
者の自主性を表現している。
　ロシアの反プーチンデモは２万人規模だったが、日本でそれを超えるデモが出
てきた。大飯町の人口よりも多い。まさに政治不信が、これまで労組を無力に
し、デモなんて狂信的な人々だけの主張手段に成り下がっていたデモ行進だった
が、ついに国民の民意をストレートに表す運動として復活したのだと思うと、列
の中で１人感動のあまり目頭が熱くなった。これはひょっとしたら日本もアラブ
の春みたいなこともあり得るかもしれない。経済危機だけのギリシャより、放射
能不安と増税と経済不況の三重の苦しみを味わう日本の国民の政治不信が頂点に
達していることが肌身で感じられる。
　こうした国民の自主性は、実はコミケとかコスプレとか、マラソン大会での仮
装とか、そういうところで育ってきた立派な日本文化の成果であり、むしろ日本
人はこれから自由に楽しくデモをやるポテンシャルがあるんじゃないか、シビア
なテーマはあるが、皆デモを楽しんでいる。毎週官邸前に来るぞ、なんて叫んで
る人もいる。この運動、長続きするぞ、と確信する。
　あまりに人が多すぎて行進が前に進まない。アイドルイベント会場並みの絶叫
がここでは当たり前。みんなプラカードや横断幕や鳴り物やその他色々な小道具
を持ち寄って参加する人々。「子どものために絶望する訳にはいかない」と言う
メッセージが胸を打つ。大きな中心がある訳ではない、あちこちに輪ができて
シュプレヒコールが上がる。ここでは誰も一人ぼっちにならないし、させない。
みんな勝手にやってるけど、みんなひとつ。そんな矛盾のようなしかし強固な連
帯感が永田町を覆い尽くす光景はどんなエンタメイベント、スポーツイベントよ
りもエキサイティングだ。今年最も規模の大きい夏まつりはここかもしれない。
あっ、今、山本太郎が前を通った！８時終了、しかしみんなこのままちゃんとお
となしく帰れるかな。デモ終了後、テキヤはいないが周辺の居酒屋は大変繁盛し
た様子。
　もはやヒーローやヒロインの登場なんか期待するな、政治家たちなんて誰も信
用できないんだから。自分たちで世の中を変えよう、そんな国民の前向きなエネ
ルギーに満ちたデモだった。