イスラエルは民主主義なのか

 今回のイスラエルのレバノン攻撃であらためて思うのは、イスラエル
  国民がいったい何を考えているのか、と言うことである。軍の暴走は北
  朝鮮にも匹敵するが、北朝鮮が誰も疑いようのない独裁政権国家である
  のに対し、イスラエルは曲がりなりにも民主主義国家である。もちろん
  在イスラエルのパレスチナ人に対する不当な弾圧はあるものの、少なく
  ともユダヤ系の国民に対しては欧米に近い基本的人権の保証された国だ
  と思っている。
   だとすれば、今回のきわめて非理性的なレバノン攻撃は、イスラエル
  国民の支持があって始められた、と考えて差し支えないように思う。いっ
  たいあのような軍の暴走を国民が支持しているのだろうか？イスラエル
  国内に反戦運動のようなものは起こっていないのだろうか？イスラエル
  はいわゆる“神の国”として観光資源はあろうが、他の中東諸国と違い、
  石油生産力は大したところがない。その一方で、アメリカのイスラエル
  ロビーによって莫大な政治資金が流れ込んでいるとも聞く。貧乏のよう
  でいて、実は金持ちと言う、ちょっと不思議な国。そこの国民がいった
  い何を考え、今回の戦争を見守っているのだろうか。
   かつての日本にはかなり沢山のイスラエル系の若者が来ていた。バブ
  ル期でヒッピー気取りの旅行者には日本は人気だった（露天でアクセサ
  リーなど売っていればすぐに日銭が稼げた時代だ）。イスラエルには徴
  兵制があると言う、そして、徴兵ですり減らされた若者が勢いで国外に
  旅行に出かけてしまい、そのまま何年も日本に住みつく、と言う話だっ
  た。要するに、徴兵された若者は取り立てて愛国心に燃えているわけで
  もなく、親の世代のユダヤ人国家建設への強い情熱とは裏腹に、かなり
  冷めた享楽主義的な感情の持ち主の様である。彼らがいったい自
  分の国家をどのように考えているのか。レバノンの人たちとインターネッ
  トでチャットしていた、などと言うニュースも入ってきているが、彼らイ
  スラエル国民が何を考えているかは、レバノン人だけでなく全世界
  中の人々が注目していることでもある。