写真週刊誌「フォーカス」が容疑者の中学生の写真を掲載したことで物議を かもし出し、あちこちで不買運動がされていると言う。少年の人権擁護、と言 う視点では正しいかもしれない。でも考えてもみてくれ、普段からポルノまが いのエロ写真が満載で、しかも芸能人に関してはこの少年以上にプライバシー を侵害しまくっている写真週刊誌を今まで放っておいているのに、何を今さら 少年の写真ごときで大騒ぎしているのやら。私はむしろその場の雰囲気で不買 運動を起こし、矮小な正義感に酔っている世間こそ罪深い、と思っている。
それこそ少年はこういう大人たちの偽善に我慢ならなくて殺人を犯すまでに 至ったのではないか？少年は学校の先生から「もう学校に来るな」と言われて 以来、長期欠席中だったと言う。要するに学校は子供を教育する義務を放棄し てしまったわけだ、彼の問題児ぶりにてこずった挙げ句。校長へのインタビュー でも、逃げの姿勢がありありではないか？
"SCHOLL KILL"と言う犯人のメッセージから、学校への憎悪、と言う動機が 考えられているが、学校というのは少年から見たら社会の縮図であるわけで、 実際には社会全体への憎悪、と見るのが私は正しいと思っている。彼は犯行声 明の中でこの事件に命をかけている、と書いた。犯した殺人については裁きは 免れないとしても、そこまでして世間に放った彼のメッセージがまるで理解さ れず、相も変わらず大人たちの勝手な解釈で写真週刊誌の不買運動なんぞでお 茶を濁されて、彼に対して心底哀れみを感じずにはいられない。
私は今回の事件が特殊だとは全く思わない。そうやって大人たちが立場をあ いまいにしたまま起こした事件としては、野村證券と第一勧業銀行の総会屋癒 着の事件と根は同じなのではないか？やっぱり狂ってるのはこの少年じゃなく て、社会で偉そうにしていて、自分が法律だと信じ込んでいる連中の方だと私 は思う。
<97.07.04>