僕が集団アイドルを愛せない理由

　その答えは、前回書いた「アイドルオタクがイタイ理由」と似ている。つまり、
集団アイドルは《アイドル自身がイタイ》と感じるからだ。
　集団アイドルは集団アイドル同士の競争も激しい上、更にグループ内での選抜
競争にもさらされる。そういう環境にいれば必然的に彼女たちは“必死”になら
ざるを得ない。その必死さこそ、僕が“イタイ”と感じる理由。もちろんピンア
イドルだって芸能界で生きている以上、厳しい競争にさらされているだろう。し
かし必死さの部分は集団アイドルに比べて事務所の管理が行き届きやすく表面化
しない。例えば、どういう訳か、ピンアイドルは辞めても静かにフェードアウト
していくが、集団アイドルだといちいちニュースになったりする感じがする。ニュー
スになれば当然バッシングなどの殺伐とした光景を目にすることになる。こんな
ことのどこが楽しい？
　逆に、集団アイドルを好きな人は、そういう必死さに自分の人生と共鳴してヲ
タ活動に邁進するのかも知れない。しかし僕のようにアイドルに癒しを求めてい
る場合、そういう必死さはかえって“イタイ”と映るのだ。
　アイドルが努力する姿は、彼女たちが同じ人間であることを意味する。しかし
僕らの世代にとっては、アイドルと言う存在は一般的に“女神”である。トイレ
に行かないとかはさすがにただの妄想だとしても、変に生々しい現実なんか見た
くない。ただそこにいるだけで、後光が差すような光輝くまぶしい存在、それが
僕にとってのアイドルである。だから汗とか努力とか生々しい姿をさらす集団ア
イドルは愛せない、基本的に女神的存在のピンアイドルしか愛せない。