海賊と福岡西方沖地震と独島問題

日本の昔話の中で有名なものに「浦島太郎」と「桃太郎」がある。前者が竜宮城
で何十年あるいは何百年と遊び呆けてしまう呑気な話なのに対し、後者は鬼が島
へ鬼退治に行くという勇ましいものである。このような対照的な二つの昔話の中
に、海洋国日本の二面性が見て取れる。
　浦島太郎は太平洋側の物語だ。大きな海原は果てしなく続き、豊かな海洋資源
を享受することができる。竜宮城での出来事はそうした豊かさを感じさせる。一
方、桃太郎は日本海側だ。海の向うには鬼が棲む島がある。おそらく中国大陸、
朝鮮半島のことであろう。遣隋使、遣唐使と言った友好関係はほんの一部、大半
の普通に漁業を営む庶民にとっては、彼らは海賊という名の鬼と映っていたに違
いない。
　かくして、独島問題は韓日のいにしえからの対立の炎に油を注ぐ出来事となっ
た。もちろんその火は消さなければならない。しかし、長い歴史の中でその炎は
そう簡単には消えはしない。更に福岡西方沖地震によって、海の向うには鬼だけ
でなく怒れる神までもが待ち構えていることを教えさとしてくれる。海洋国日本
の正念場と言えよう。