保革逆転の時代

　果たして小泉首相とは何者なのだろうか？自衛隊をイラクに派兵し、
音楽ＣＤの逆輸入を防ぐと言って輸入ＣＤ全体を抑圧するような法律、
あるいはまともな議論も出来ないまま年金法の改正、更には国家主義
を復活させ、憲法改正の先鞭をつけるための教育基本法の改正案、更
に更に、自衛隊の多国籍軍参加表明、などなど。中曽根氏のような超
タカ派首相でも成し得なかった軍国主義化への様々な法改正や既成事
実をここまで積み上げておきながら、国民からの支持を見事に落とさ
ずに歴代４位（だっけ？）の長期政権を築いた男。私にとっては“悪
魔”としか言いようのない男である。
　なぜこのような人がここまで国民の支持を得ているのであろうか？
その議論は他の人にお任せしよう、私は偏った意見の持ち主でこの議
論を完遂できるとは思えないし、多分答えを聞いても理解できないか
ら。
　この悪魔のような男を前にして、絶望的な笑いをこらえながら思う
ことは、今や実質的に“保守”と“革新”が逆転してしまったんだな、
と言うこと。かつて日米安保条約破棄、消費税撤廃など、社共系の政
党は現状の悪い制度や法律を変えるために議論や運動を重ねる、名前
の通りの革新政党であった。ところが今や、憲法改正を必死で阻止し、
自衛隊を現状維持することさえ困難を見ている“守り”の立場である。
一方保守系与党である自民党は、上記の通り、次々と悪法を成立させ、
最終的には改憲を目指すところまで来た（少なくともすでに改憲は議
論のまな板には乗ってしまっている）。善悪はともかく、次々と“革
新的”な法の成立、憲法解釈の舵取りの変更。今の自民党は“革新政
党”と呼ぶのがふさわしい状態。
　果たして彼に対する国民の熱狂は何なのだろうか？彼は私たち国民
にとって理想的な政治を行っているのだろうか？イラク派兵他の善悪
はともかく、我々国民が望んでいるのはあくまでも生活の向上であり、
イラクの人道支援なんかして溜飲を下げてるほど暇ではないと思う。
今の日本の状況はいったい何なのだろうか？巧妙なプロパガンダで熱
狂を煽り、歴史的な人類の罪悪、ホロコーストをこの世に出現させた
ナチズムに覆われたドイツに似たような物を感じるのは私だけだろう
か？日本は核兵器非保有国だから安心、なんて言ってられない。現実
問題として、核エネルギーの民生利用は世界有数であり、その気にな
れば東京電力は３ヶ月くらいで原爆を作ってしまうかもしれない。我
が国日本こそ、今の世界で最も危険なナチズム国家への道をひた走り
続けている、そんな恐怖が日に日に増している。