World Trade Center Attack

今回の事件、私は親イスラム的立場を取らせていただく。

　もちろん、テロリズムを支持すると言うことでも、犠牲者の方々への哀
悼の意を欠いていると言うことでもない。政治的理由から、アメリカ政府
を批判したい、と言う目的である。

　ある意味、世界貿易センターと言う、アメリカの繁栄の象徴を攻撃目標
にした、と言うことは、アメリカ、強いては西側社会全体に対する強烈な
憎悪が背景にあることは間違いない。犯人を逆恨みしたところで、彼らは
自らの命を差し出してこの行動を成功に導いたのである。
　それに対してアメリカはどうであろうか。世界の最高首府の長と言うべ
きアメリカ大統領が「報復」などと言う下品な言葉で犯行に報おうとして
いる。「報復」などと言う言葉が出てくる、と言うことは、ブッシュ大統
領、ひいてはアメリカ合衆国と言う国は、結局巨大なヤクザ集団とも言う
べき程度の低い連中だ、と言うことだ。
　私たち西側の人間が今回の事件に深い悲しみと怒りを覚える中で、イス
ラム圏の国々ではこぞって今回のテロ成功を祝っていると言う。女子中学
生を手錠で縛って殺した、と言う程度の低いボンクラ教師の犯行とは全く
本質を異にする、西側世界への奢りへの強い憤り、現代世界の文明不均衡
が生み出したストレスの爆発、と言った側面を無視して、ただ単にイスラ
ム教信者は恐ろしい連中だ、などと断じることでよしとする態度は単なる
思考停止であり、こういう時こそ彼らと話し合わなければならないのでは
ないだろうか。


　アメリカ政府が、堂々と全世界に向かって「犯人たちに報復を」と言っ
ている背景には、湾岸戦争の時のように敵を赤子の手をひねるくらいに楽
勝で倒してみせる、と言う自信から来ているのだろう。ところがイスラム
側は、今回の犯人はもちろん自爆と言う形で自ら散っていったし、過激派
組織にしたって、勝算なんて殆ど考えられないだろう（湾岸でのフセイン
のように生き延びればそれが勝利、と言うのならありえるかもしれないが）。
戦争をテレビゲームの中のシミュレーション程度にしか考えていないアメ
リカ、自らの人生最大のミッションとして命を散らす覚悟で敵に向かうイ
スラム、こんな状況でもし本当にアメリカが戦争を始めたら、私は絶対に
アメリカと言う国を許さないだろう。イスラム側には、今回の事件で犠牲
になった人の何百倍、何千倍もの人々が飢えや災害で亡くなっているのだ
から（数年前のイラン大地震は記憶に新しいところだろう）。戦争が始ま
れば、被害者は一万どころでは済まないことも、ちょっと想像力を働かせ
れば誰にでも分かることだろう。

　最後に、今回の事件での犠牲者の皆様には心からご冥福をお祈りします。