大阪の小学校殺人犯その２

大阪の小学生無差別殺人についてもう少し語らせてもらう。もちろん今回も
犯人についての言及はしない、彼の罪は裁判所が裁いてくれるのだから。私
が問題にしたいのはメディア報道のあり方。（まぁメディア批判も世の中に
は数多ある訳だが）

　サンケイなど右翼系の新聞ではこの事件をきっかけに精神障害者に対する
隔離政策をほのめかすような社説が出たと言う。らい病防止法による患者隔
離問題についての裁判があったばかりだと言うのに、またも公然と病気を理
由とした差別を支持しようと言うのか。腹が煮え繰り返る思いだ。
　確かに、精神障害者が犯す犯罪や、また今回の犯人のようなそもそも反省
の色のない人間が犯す犯罪は、もはや法律で防ぐことは出来ない、と言う絶
望から、このようなサジェスチョンが生まれるのも一理ある。だが、このよ
うな「疑わしきを罰する」ような、個人の自由を奪うような動きには、私は
断固として反対だ。

　私は高円寺に住んでいる。実家は千葉の船橋、ニュータウン系の街だ。高
円寺で一人暮らしを始めたのは、ニュータウン系の街の息苦しさを感じてい
た、と言うことが理由の一つになっている。夜道を一人で歩いても安全な一
方、勤め人ばかりで人と人のコミュニケーションに欠けた街。高円寺にはヤ
クザもいるし、風俗のポン引きもいる。でもそのように色々な人種がいた方
が街に活気があるし、学ぶことも多い。

　日本は高度経済成長を通じて、安全でクリーンな街が住み心地のよい街だ、
と思っているらしいが、私から言えばそういう極めて基本的なところから思
想的に間違っているような気がしてならない。食堂にはハエが飛んでいてし
かるべきだ、もしハエ一匹いないレストランがあるとしたら、それは衛生上
優れているのではなく、虫が生きられない強力な殺虫剤を厨房に撒いている
からで、その影響は出されるメニューにも影響あり、と考える方が妥当であ
ろう。ヤクザ者、障害者、ドロップアウトなどなど、企画はずれの人間を追
放するような政策は、そのうちノーマルな人たちにとっても住みにくくなる
はずだ。まぁ電車の中で携帯で友達との会話を他人に聞かれて平気でいるよ
うなプライバシー感覚０の人間には分からないかもしれないけど、国民総背
番号制みたいな超管理社会への道はこういうところから作られていってしま
う、と言う危機感を強く感じているのだ。