デートレイプ

　ＡＥＲＡでデートレイプについての記事を読んだ。交際中の中にも合意
のない性交渉がある、と言うこと。記事の中に現れるここの事件を見れば、
確かに犯罪として扱ってもいいのかなぁ、と言う思いはある。とは言え、
一般的な人権問題として、果たしてここまで認めてしまってよいのだろう
か、と言う疑念が頭をよぎる。
　僕が思うのは、重度の身体障害者などは誰から見ても社会的弱者、と言
う意識で保護すべきだろう。しかし、元気な老人、社会で立派に活躍する
女性、などを社会的弱者として扱うことが果たしてよいのだろうか。「弱
者」として扱うこと自体が差別になりうるし、そもそも、より保護を必要
とする人たち、例えばＡＩＤＳ患者などで不当な差別を受けている人たち
の問題への取組をなおざりにしたままに議論の優先順位を変えるのはいか
がなものか、と思うのである（当事者にとっては優先順位など存在しない
のだろうが）。
　当然僕の発言は、立場の違う人から見れば暴言と映るであろう。それで
結構。僕自身が誤解していることを公言しなければ、誰も僕の誤解など指
摘してはくれないのだから。
　人権問題の他にもう一つ、これも暴言を承知で言わせてもらうなら、女
性の過度の権限主張が今日の婚姻率の低下、離婚率の増加につながってい
るのではないか。例えば、今年の心の病の問題としてアダルトチルドレン、
と言うのが注目されているが、それ以前にアダルトチルドレンはいなかっ
たのだろうか？いや実際には沢山いたはずで、そうした心の病に呼び名が
付いていなかっただけの話である。合意のない性交渉も、昔からあった問
題を今日的な世論動向から問題視されてきたものである。記者も、「人権
問題として意識されるようになったのは進歩」と書いているが、僕はもう
少し懐疑的だ。率直に言わせてもらうなら、これは相撲の土俵の女人禁制
を批判するような、お門違いの西洋思想の文化的干渉ではないか、と考え
る。
　私たちは決して平等な世界なんぞには住んでいない。国民、と言うレベ
ルでは平等でも、会社組織に入れば社長と平社員は同等ではないし、家族
と言うレベルでも子供は大人に従わなければならない。これを百歩譲って
正当な階級化だとしても、同じ平社員の中で政治的に強い奴と弱い奴に分
かれる（＝出世する奴と出世しない奴）のは世の常である。資本主義と言
う競争原理の社会（と言うか、社会制度に関わらず人生と言うのは常に弱
肉強食なのはダーウィニストならずとも認めるところであろう）で自然発
生的に生まれる不平等は押さえても押さえ切れないものだ。
　今回のデートレイプの問題は、相手の合意があるかどうかを客観的に測
る方法がないまま（法的にではなく、当事者の男性にとってである）犯罪
だと認識される可能性があるとなった場合、そもそも性交渉自体に歯止め
がかかり、一層出生、婚姻の低下に拍車がかかる、と言うことである。欧
米ではそれでうまくいっているのだから？そのような理由付けはまさに西
洋思想のおごりである。恥の文化の日本で、これが機能すると思っている
のだろうか。女性が個人の権利を主張することと、世の中全体の利益との
バランスを考えて議論がされているのであろうか。後者の視点からの議論
が見えていないことに危惧を感じる。