健康指向

　最近、若者の間でもカロリーを気にしたり栄養のバランスを考えた食事を
心がけている人が増えているそうだ。僕から見たらそんなのはハッキリ言っ
てアホちゃうか、と思う。

　先ず、若いうちは不健康な生活を自分が送ったり、身の回りの人間の不健康
を見ることで健康の大切さを知るべきだと思っている、睡眠時間を削ったり、
食事の回数を減らしたりして苦しい思いをすることで、自分の肉体の限界を知
り、健康の大切さを肌身で感じればよいのである、あるいは身近な人で不摂生
がたたって御不幸に見舞われたがいれば、それを反面教師にすればよいのであ
る。ところが今の健康指向というのはダイエットと同じで、明らかに一時的な
ブームに思えるのである。健康と言う人類普遍の欲求にブームがあるなんて不
自然だ。そういう人たちって、例えばセックスがブームになったら毎日やりま
くり、下火になったら年に一度で我慢したりするのだろうか？なんか物の考え
方がすでにかなり不健康に思えるのだが。

　更に、健康ブームは飽食の感覚を麻痺させているようにみえる。ダイエッ
トだ、カロリーの取り過ぎだ、塩分の取り過ぎだ、と言い訳をしては食べ物
を残している。グルメ指向と言うのもかなり感覚の麻痺を感じていたが、健
康ブームはさらにたちが悪いと思わざるをえない。そんなに食べ物を無駄に
してでも健康が大事なら、いっそのこと飢餓に苦しむ発展途上国にでも移住
してくれ、と言いたくなる。

　早い話が今の健康ブームは悪しき個人主義を端的に表した現象だと思う。
煙草呑みの煙害が減ることはいいことだけど、若いうちから自分を壊すこと
も出来なくなった冒険心に欠けた世代に将来を託すのは恐いとは思いません
か？