人間と言う種は、相互扶助の考え方をする社会的動物である。社会的営みの 中では、責任と言うものが大切だとは学校で繰り返し教えられてきた。しかし、 実際問題として、組織と言うか、システムが巨大になり過ぎて、責任をきちん と取ると言うことが少なくとも僕から見ると個人では不可能に思える、と言う わけで、それなら無理に責任追及なんてやめた方がいい、と考え、責任不要論 を説いた。ようは周囲から「立派な人」と褒め称えられたい人が勝手に責任と 言うものを強く意識して威張っているのはかえって僕みたいな人間には迷惑で、 実際「責任」などと言う概念の存在しない他の動物たちはそんなものなしでも ちゃんとやっていっているのだから、責任なんてものはなくした方がいい、と 言うのが私の考え。
「後悔」とか「反省」だって、その人が何か目標を持っていて、それに達成 する過程において発生することだと思うけど、その目標の持ち方自体を後悔し たり反省したりする本末転倒が良くある。くだらないっちゅうか、寂しいっちゅ うか。
人間というのは、時として自滅する動物である。悩んだ末に自殺を選んでし まったりね。「反省」は確かに人が成長する上で大切だろうが、それは一歩間 違えば過去を否定するだけの「後悔」と紙一重だし、更に後ろ向きな人生へと 向かう「挫折」や「絶望」ともなる。要するに、人間が自滅するのは、無理を するからだと思う。無理をしてしまうのは、とにもかくにも高い「目標」なん てものを偉そうに持つからだと思う。目の前の欲望に迷わされて人生の道を踏 み外すな、とはよく説教されるが、今は高い目標を持ちすぎた人間こそが人生 の道を踏み外す時代である。日々が楽しいこと以上のことはあなたはなぜ望む の？お気楽主義で行ってるんじゃない、そういう高い目標を持つこと自体が、 人間の果てしない欲望と言う、この世でもっとも醜いものの最初の第一歩なの だ、と言うことを僕は言いたいのである。
<97.07.31>