一言で言うと、偉い人たちがだらしない時代なのだが、メチャクチャ基本的 な質問をさせてもらうと、そもそも「偉い人」って何？と言う素朴な疑問を私 は持っている。つまり、「なぜ世の中には偉い人と偉くない人、と言う身分の 隔たりが存在するのか？」と言う、社会的、と言うよりもむしろ哲学的と言う べき疑問。
簡単に言えばこういうことだ、国とか、会社とか、学校とか、世の中には様々 な人の集まる場所＝組織、が存在していて、そうした場所では大勢の人がうま くやっていくために規律が生まれ、また、多数の人を少数の人が先導するピラ ミッド型の地位構造が生まれた、と言うことになるのだろう。
さらに突き詰めてみる。じゃあなぜ世の中には「組織」というものがあるの か？なぜ人は集まらなくてはいけないのか？実はこのきわめて素朴な疑問が、 ３０過ぎた今でも私にとっては分からないことなのである。
他の動物でも「家族」くらいの集団は形成するから、これはまぁいい。だけ ど、国とか、会社とか、学校とか言った数百、数千、数億の人からなる単位と いうものに何の意味があるのか分からない。もちろん一人では出来ないことが、 大勢で出来るであろうメリットは分かる。でも大勢でやらなければ出来ないよ うなことをやりたい、と言う気持ちが僕には分からないのである。他の人と協 力して何かをやり遂げることが気持ちいい、と言う感覚は確かに分かるけど、 誰かが先頭に立って無理矢理まとめられながら事を成す、と言うことに意味を 感じない、と言うか、そういうのってうざったい。
話を元に戻す。偉い人が責任をとった、と言うことは、つまりその人が何ら かの形で我々の（と言っても野村証券や第一勧銀はそこの社員でない限り他人 でしかないけど）代表である、と言うことになる。果たしてそんなこといつ決 めたんだい？オレは青木さんをペルー大使に指名した覚えなんかないよ。はっ きり言って家族以上の大きな単位の集団というのは、どこか自分のあずかり知 らぬところで物事が決まってしまうことが往々にしてあり、そのことは私のよ うな癖のある人間でなくとも不愉快に思うことではないかと思う。
要するに、問題が起こったとき、誰に責任があるのか、と言う議論が起こる が、そもそもその責任が発生するプロセスってものが不透明で、それで誰々の 責任、とか言う議論を聞いていると、単にスケープゴートを立てているだけの ようで不愉快なんである、本当はちゃんとした手続きを踏んでいて、私に見え ないだけなのかもしれないけど。
長くなるがもう一言。結局日本という国が宗教的、倫理的な面で全くなって ない、と言うことなのだろうと思う。僕はキリスト教で言う、「人は生まれな がらにして罪を背負っている」と言うことを信じている。自然界のことを考え てみればよい、一旗の動植物を食用にする＝その動植物を殺すことはするが、 他の動植物の餌食になることのない存在である。地球上でこんな迷惑な種は人 間だけである。すなわち、人は平等にその存在が「悪」なのである。法で裁か れる人が悪で、世間からよい評判の人が善などと言う判断は、自然界の食物連 鎖のことを考えたら極めて薄っぺらいものにすぎない。
で、そのような人間の本質的な罪深さを考えた場合、どんな悪い事件に対し ても自分が何らかの形で関与している＝責任がある、と感じるのが当然になる はずだし、そう考えることでしかこんなイタチゴッコめいた責任追及はどこま で行っても終わらないと思う。そもそも、責任追及などと言う行為そのものが この考え方の下では馬鹿らしいことになってしまうのだが、いかがだろうか？
<97.07.31>