「神と女とアナーキー」第３幕：反政府デモ行進

大統領の暴言に反発した市民たちのデモ行進。都心の公園に２千人が集まった。

デモ参加者Ａ「なんか一人でブツクサ政治に文句言ってた時は周囲にも話しづら
くて自分に自信が持てなかった。でもこうしてデモに参加すると自分の考えが間
違っていない、という確信が持てた。ここでオレは強くなれたし、だからもっと
自分の意見を言ってやろう、という気になったよ。」
デモ参加者Ｂ「君はまだまだ甘いよ。自分と意見の会う人に出会うだけじゃただ
のセンズリじゃん？実際に政治が変わらなかったら意味ないんだよ。オレはイザ
という時は実力行使も辞さない。実はこのリュックには火炎ビンが入ってる。」
デモ参加者Ａ「デモ市民側の実力行使がうまくいった試しなんて歴史上殆どない
じゃないですか。デモというお祭りはお祭りとして、普段の言論運動の方がずっ
と大切だと思いますね。」
デモ参加者Ｂ「君の言うことにも一理あるが、オレの意見は変わらんよ。」
デモ参加者Ｃ「おい、行進の先頭で乱闘が始まったぞ！」

興奮した３人、行進をはみ出して乱闘に参加。Ｂは火炎ビンを使おうとするが、
ＡとＣが制止する。にもかかわらず武器所持の疑いで３人とも現行犯逮捕。一晩
拘束される。

Ａ「まだデモ参加３回目でパクられるなんて！正当な言論の自由もないのかこの
国は！」
Ｂ「だから言ったろう、国を変えることはそんな甘っちょろいもんじゃない、命
がけでやることなんだ。」
Ｃ「でも２千人集まってもニュースにもなってないようだ。世論を味方につけら
れないデモは今後厳しいかもしれない。」
Ｂ「何インターネットの時代に情けないこと言ってんだよ。オレたちがここにい
る間にも他の仲間たちが情報発信してるし、それ以上に、オレたちはネットで世
界中の同志とつながっている。だからあきらめないこと、それがなんと言っても
大事なんだ。」
Ａ「あ、なんか勇気の出て来る言葉。オレ、お前についていくよ。」

翌日、Ｃ１人が釈放される。ＡとＢは翌々日解放。その後Ｃとは連絡が取れなく
なる。

　第４幕。