A Way Of Life (5/5)

5.Notes

　マスコミはオレの事件のことを「金か？女か？妄想か？謎の狂気殺
人事件」などと書き立てているが、こんな下らない野次馬どもがいる
こと自体、世の中が汚れていることの現われで、吐気がすることこの
上ない。人は辛いことに悩みながら生きていくものらしいが、人生な
んて悩む価値のあるほど大事なものなのか？そんな疑問を持ちながら
生きてきたが、２８歳の今でも答えは出ない。
　生きる意味をゼロから創り出すことはできなくて、人は生きながら
人生の目的を見つけるらしい。でも意味の分からない人生に目的を持
たせたところで、そんな目的は簡単に壊れる。オレにはそんな目的を
受け入れる度量すらない。
　オレはモノ食ってウンコして寝る、そうする退屈な日常自体が人生
の喜びと言うものなのかな？とも思った。しかしそんな退屈に何年も
何十年も耐えられる訳がない。結局オレには今も人生の目的がない。
　世の中にはいいヤツと悪いヤツがいるらしい。しかしそれは幻想に
過ぎないと思う。世の中にはいいヤツも悪いヤツもなく、ある日誰か
が「こいつは悪いヤツだ」と大声で叫んだ瞬間から“悪いヤツ”が生
まれ、そいつを懲らしめたヤツが“いいヤツ”と呼ばれるようになっ
ただけだ。だって、盗みだって殺人だって、それ自体は悪い事ではな
い。盗みや殺しは他の皆が困るから、悪い事として社会共通の認識に
なっただけだ。だからシマウマを襲って殺すライオンは人間にとって
“悪いヤツ”ではない。
　オレは人殺しをして人々から悪いヤツだ、と後ろ指を差されてもか
まわない。オレの価値観はそんな社会の相対的な価値観なんかにはビ
クともしない。オレは自身の抗し難い欲望にしたがって人を殺した、
それ以上でもそれ以下でもない。そんなことより、本当の悪の根元は、
「こいつは悪いヤツだ」と一番最初に誰かを名指しで悪人に仕立て上
げたヤツが本当の悪人なんじゃないだろうか。そんな連中がのうのう
と生きている事実こそ、世の中が悪意に満ちている理由じゃないだろ
うか。
　オレは人生最後のパフォーマンスとして、死刑場所に家畜の堵殺場
を希望したが、かなわなかった。表向きは「オレは家畜以下の人間だ」
と言うパフォーマンスとしてマスコミにも中継してもらえれば面白い
だろう、と思った。だが本意は「お前らはこんな残酷な方法で殺した
家畜の肉を毎日食っているんだぜ」と言うことを伝えたかった。人間
なんてものはとても醜い存在だ。セックスしなけりゃ子孫は残せない、
他の生物を生け贄（食糧）にしないと生きていけない。原罪だらけの
人生を少しは反省してもらいたいんだ。オレはオマエらの原罪の生け
贄として死刑台に殉じる。つまり俺は現代のキリストなんだ。処刑さ
れた後も近い将来必ず降誕してみせる。そこでオレは世界を変える。
世の中に満ちた悪意を全て清める力を持って帰ってくるのだ。。。