[J-ROCK LIVE] Olivia live 2008 "Trinka Trinka"


<2008.10.24(Fri)>
 1週間も前から気合い入れて臨んだライブなんていつぶりだろう。今週は彼女
の歌のために捧げられた、と言うか、今週は“大人のためのお伽噺”に満たされ
た1週間(月曜日にリンゼイケンプの幻想的なお伽舞踏に酔いしれ、水曜日は美
輪明宏の人生の悲哀を成熟させた豊穣な生の喜びにうなった)。D&D時代の無
垢で元気いっぱいのリヴィも好きだったけど、今のリヴィはその真っ直ぐな志が
ハッキリと出た音楽性に惹かれずにはいられない。
 会社を出ようと言う頃にドタバタし、オフィスを出たのが6:25。それにしても
なぜWOMBなんだろう、道玄坂には他にもO-East、O-West、Exchange Duoなど名の
知れたライブハウスがひしめき合っているというのに。そうした表通りを1本
入った、ひっそりした裏ホテル街から夜のパーティでは馴染みのあるハコに入
る。よく来ているハコだけど(一番最近来たのが10/3のSTERNEか、10/18の
SESSION行きたかったなあ)、背広で入るのは初めてだ。確かにフロアのステー
ジにはドラムスやキーボードなどのステージキットが並び、10分後にはここの
上にリヴィが立って歌うのだと分かる。BGMはここのPAがお得意のブッとい
キック音のサウンド。でもこれでリヴィのハイトーンボイスとヘヴィなギターサ
ウンドをやっていいの?入場者数は300〜400人くらいか、ロック男子も多いけ
ど、やはり幾分女の子の方が多い感じか。彼女が元アイドルなんて知らない人も
結構いそうだ、そのスタイルはむしろモデル出身でアーティストに転身した人み
たいに見える。
 あっという間の2時間で、キュートでロックで愛おしいリヴィのステージをど
う言い表せばいいのか分からない。夢の中でしか会えない女の子との童話のよう
なストーリーを堪能した、と言うか。
 一発目はTrinka Trinka。ライブは久しぶりで、緊張して出だしを間違え
ちゃった、とMCで語るリヴィの愛くるしさ。しかしAlive in Wonderlandを彷
彿とさせるドリーミーな世界がしっかりでき上がっている。昔の曲も結構ハード
な作品だ。MCを聞くとそれなりに日本の生活は長いはずなのに、相変わらずま
だちょっと日本語が頼りない。しかしそれもリヴィのちょっとしたチャームポイ
ント。そう言えば生で動くリヴィを観るのは実は初めてだ、D&D時代もテレビ
だけで、ライブステージは観ていない。前半はちょっと豹柄のポンチョを羽織
り、ちょっとエスニックなおめかし。そのふわっとした感じから来るオリビアの
マジックに僕はかかってしまう。そんな軽やかな動きは彼女の自由な心そのも
の、音楽と同様に説得力のある表現になっている。久しくこの手の女性アーティ
ストは観ていなかったが(2月に観たBjorkは本来この手の女性アーティストに
数えられるところだが、今はもう大御所としての風格の方が強くなった)、ある
時はKate Bushみたいにドリーミーで軽やかで、それでいてミステリアスで、ま
たある時はPat Benatarのように愛の力を信じ切った女性にしか出せない母性と
強さとを兼ね備えたたくましくも美しいロックボーカルを聴かせてくれる。
 7曲歌ったあとのインターミッションで、小映画(ドキュメンタリー?)が上
映される。これがまた愛らしいリヴィ、愛と喜びを生み出すzapperと言う機械を
製作するリヴィ。この機械にspellと言う魂(キスとサイン)を込める。なんと
宇宙人(alien)の分まで入ってる!そしてその機械の実験。被験者のテンション
がみるみる上がる様が大爆笑、イヤこれはスゴイ、ドラえもんにも思いつかな
かったスバラシイ大発明だよ(笑、本人のMCによれば、ライブの2週間前に
撮ったそうだ)。
 後半は黒の肩出しワンピースで少し大人っぽく。最初何曲かバラードをやって
ジックリ聴かせる。そしてラストへ向けてハードなロケンロールなナンバーの連
射へ。さすがにRainあたりからはオイラもコブシを振り上げる。ロックのライブ
と言うよりも、リヴィのエモーショナルでストーリー性のある歌を聴きにきたの
だが、要請がステージ上で無邪気にフワフワ飛び回っているのを見ていたら、自
分もそれに応えなければ、と言う思いになってくる。ラストはStar Shinin' 
out。リヴィは今の音楽シーンでは残念ながら地味なポジションだが、僕はこの
曲の入ったCloudy Dreamerを去年のアルバムの2位に選んだ。これを読んでくれ
た人の中に、だまされたと思って聴いてくれる人がいてくれたらうれしい。
 アンコール、バラードを1曲やってバンドのメンバーを紹介。ギターの人が何
か芸をやってくれるらしい、そのときのリヴィのハシャギっぷりと言ったら、愛
くるしいったらありゃしない。
 夢というのはあっという間に終わる。たっぷり19曲、2時間のライブがもう
過去の出来事になっていた。そのはかなさもまた、リヴィの世界観の一部だった
んだな、と道玄坂からの帰り道にふと思った。

 以下、セットリスト。

1.Trinka Trinka
2.Sea me
3.Cloudy world
4.Nothing’s gonna take my love
5.Cut me free
6.Space halo
7.Celestial Delinquent
(intermission with a short film)
8.Collecting sparkles
9.Miss you
10.Because
11.Your smile
12.Rain
13.Tell me
14.Under Your Waves
15.Who's gonna stop it?
16.Stars shining out
(encore)
17.a little pain
18.Wish
19.Spider Spins