沢田研二論

　ＮＨＫのＳＯＮＧＳで２週連続でジュリーを観た。今年還暦、だいぶ太った
な、と思う。そう言う状態で派手な衣装を着て歌うことに多少のイタさを感じな
い訳ではない。でも自分的にはまぎれもなくカッコ良く映った。ノンスタルジア
なんて全く感じない、今聞いても純粋にカッコイイということ。オヤジのロッ
カーと言えばローリングストーンズや矢沢永吉がいる。彼らはマスコミ的にも現
役扱いされているし、もちろんカッコイイとは思う。一方ジュリーはマスコミ的
には過去の人となりながらも、地道に活動を続け（年に１枚はアルバムを出して
来たと言う）、そして還暦の今年、東阪２大ドームコンサートに挑む。６０にも
なってとんがった不良少年のような無謀にチャレンジする、身が震えるほどカッ
コ良さを感じずにいられない。
　彼のちょっとファニーな気障っぷりが昔から好きだ。例えばハードコアテクノ
のやりすぎ感が楽し過ぎてたまらないのに近い感覚だ。本当にカッコ良すぎる石
原裕次郎ではダメなんである。パラシュートを背負ってみたり、カラーコンタク
トをはめてみたり、考えてみればあの頃からイタかった訳で、６０でロックやっ
てるくらいで何を今更、なのだろう。それでも当時は飛ぶ鳥を落とす勢いのある
まごう事無きロックスターだった。だが決して王道に安住すること無く、常にキ
ワモノ的やりすぎ感がガキだった当時の自分にとってとても刺激的な存在だっ
た。
　本当の美人がアイドルになれないように、本当にカッコイイ男もまたカッコよ
さそのものが浮いて見える。ちょっとコミカルだが、バラードを歌わせたら抜群
にエモーショナルなジュリー。12/3の東京ドームには会社休んででも行こうと思
う。