[LIVE] Bjork "the Volta Tour" @ Budokan

　ビョークの来日コンサートを観に武道館へ。外タレで武道館ってなんか初めて
のような気がする。外タレと言えばブリッツやゼップみたいなスタンディングバ
コかクアトロみたいなライブハウス、と言うイメージがある。東京国際フォーラ
ムは何回かあるけど。なにはともあれ、新幹線で観に来られたと言うまみちには
申し訳ないが、職場が九段なので、６時過ぎに会社を出て途中立ち食いそばを書
き込んでも６時４０分頃には着席してました(^o^) それにしても、九段下の駅か
ら海上までスゴイ込みよう、w-inds.の時は（そんな比較ってあり？）学生が多
く昼間にもう到着してるファンも多く、直前は意外と混んでないのだが、ビョー
クはいやでも年齢層が高く会社帰りの人が多そうだからこういうことになるのだ
ろう、と言うか、武道館前の歩道橋が工事中で渡れなかったのがショック
(-_-);; グッズ売り場、残念ながらツアーパンフはなし、Ｔシャツ買ってきまし
た。座席は北西スタンドK-53、真横というよりも若干後ろ側に入ってる末席です
（汗、追加席だからしょうがない）。客層は男女比半々くらいか、外人さんも少
なくない。ステージは意外とシンプルな感じがした、まぁデカイ道具は陸続きの
国ならともかく、海外からは持って来れんよな。幟（のぼり）が立ってるのがな
んだか歌舞伎みたいだ。気になったのが、舞台頭上の照明機器に人がいること。
装置に異常が発生して修理してんのかな、と思っていたが、いつまで経っても降
りようとしない、あそこからライブステージを映そうというのか、なんか見てる
こっちがコワイんですけど（苦笑）。開園時刻の７時を回っても人がドンドン
入ってくる、これじゃいつ開演するんだか。開演前のＢＧＭは沖縄民謡ものが中
心。だがそんな中にダークダックスみたいなロシア民謡合唱曲みたいなのがあっ
て気になった。
　開演は７時２０分頃。管楽器隊（ブラスバンド）が入場してくる。個人的には
ブラスバンドと言うとエミール・クストリッツァの映画の影響で東欧（特に戦中
の）のイメージがある、衣装もそんな感じだ。そしてビョーク登場。ピンクのラ
メの入ったきらびやかな衣装をまとって。
　ビョークのライブにロックのイメージは湧かない。かなり民族音楽に傾倒して
いるような感じもするが、かといって特定の民族音楽を連想させるわけでもな
い、ビョークオリジナルのエスニック音楽、と言った趣。武道館だから音響もで
かいし、パーカッションは腹に響くのだが、かと言ってこれはダンスミュージッ
クではない。現代音楽と呼ぶのもややはばかられるが、強いて言えばそんな感
じ。
　ビョークの生のステージは、思った以上に多才な側面を見せてもらった。ひと
つはソウルフルなボーカリストとしての彼女。ＣＤ音源というのは普通完成品な
のであって、ライブではあれ以上の安定した演唱を聴けるということは滅多にな
いのだが、ビョークのボーカルはＣＤ以上であった。生だから複製音楽よりよ
い、という意味ではなく、生がちゃんと複製音楽を乗り越えている。なかなか得
難い経験である。
　もう一つの面はカリスマ性とキュートさが同居したたぐいまれな魅力を発する
女性としてのビョーク。そのボーカルで聴く者を引きつけ、背中から後光を発す
るのとは裏腹に、仕草のディテールを見ていると本当にカワイらしい動きを見せ
てくれる（日本語の“アリガトウ”って挨拶も何とも愛くるしかったなあ）。彼
女のオーラあふれるステージを観ていると、次はアウトドアで聞いてみたいな、
と思う。自然と彼女の演唱が一体になった時、一体どのような神がかった空間が
発生するのか？フジロックみたいなオムニバスでもいい、屋外で彼女を体験して
みたい欲望に駆られた。
　音楽的には無国籍エスニックな印象が強いものの、巨大スクリーンには時折最
新鋭のコンピュータ楽器のコンソールが映し出され、テクノロジーと大地の響き
のようなアコースティック性とが違和感なく接合される。
　ステージ道具は地味だと書いたが、ステージそのものが地味だというわけでは
ない。ビョークが歌舞伎のような紙テープの束を投げてみたり、紙吹雪も降って
きたりもした。それより何より、武道館の空中を飛び交うレーザービームが圧
巻。最初ビームが飛び交っている時はステージよりもそっちに目を奪われたくら
い。
　後半、パンキッシュな楽曲も演奏され、喚声やハンズアップで会場がヒート
アップするも、さすがにクラブフロアとまでは行かず。やはり彼女は歌う巫女さ
んだと思う。何かとてつもないパワーが彼女には宿っていて、そのパワーがこの
音楽と、この会場のアトモスフィアを作っている。アンコールを含め１２曲くら
いだろうか（アンコールではメンバー紹介をやったが、ちょうどエンジニアの人
が誕生日だったので会場全員でハッピーバースデーを合唱）、ライブの時間は
あっという間に過ぎ去ってしまった。終わった後、疲れたのか、大あくびが出る
自分（苦笑）。９時ちょい前に終演、帰りもちょうど快速電車に乗れて、１０時
前には帰宅できてしまった。