加藤いづみAutumn Concert "romeo 2003" ＠草月ホール

　あぁ、いづみさんついに復活したんだな、と言う感慨のあったコンサート。
つい２日前に４年ぶりのニューアルバム"romeo"を引っさげてのライブである。
これまでもライブはコンスタントにあったけど、今回は違う。そして、バン
ドのメンバーも最強を揃えた。いつものメンバー、高橋研や上田タダシ、狩
野良昭に加えて、あの上田ケンジの復活は感涙モノ（詳しくはまた後で）。
先週もライブ２つレイヴ１つ、先々週もライブ一つ、３週間前４週間前はク
ラブ、５週前はロックフェス、と、音楽イベントの続く夏の終りの今日この
頃だが、（椎名林檎を除けば）“ノリ”が要のライブ中心、しかしいづみさ
んでやっと“心”で音楽を聴くステージにありつく。今回はアルバムリリー
ス直後と言うことで、ニューアルバムの予習が出来ずにライブに臨んでしまっ
たのが悔しいが（ニューアルバムは会場で購入）、まぁなんとかなるだろう。
草月ホールと言えば、前回のいづみさんライブの時は、まだ顔のバンソウコ
ウが残っている事故の直後だったんだよなあ（回顧）。

1.ウサギの住む街
2.屋根の上で
3.切なく青い空のページ

　今日のお衣装は白に淡い花模様のワンピース。この人のナチュラルさは
永遠不滅、と言うか、ますますお奇麗になったと言うか、歳を重ねること
で美しさを増しているような気が。
　なんだか頬が緩んでしまう。カッコイイステージに盛り上がる、とか、
そういうノリじゃなく、昔からの友達の家に招かれてホームパーティをやっ
ているような、そういう楽しさ。気心の知れた仲間たちのパーティで心の
底からリラックスできる、そんな感じ。上田禎さんのキャラがまさにそう
いうアットホームな雰囲気を作り出すのに欠かせないスパイス。

4.ナチュラルガール
5.シェルブールの雨

　「ウサギの住む街」もそうだが、初期の曲を最初に連発してきたのは意
表を突かれた、ニューアルバムの曲中心かな、と思っていたので。でもきっ
といづみさんは新しい気持ちで昔の曲を歌ってる。
　メンバー紹介、先ずは上田ケンジですよ、久しぶりに“夢の話”を聞き
たいなあ、と思っていたら、見事に期待に応えてくれました、シアワセ
（笑、お題は「象印の男」）。上田禎は「いらっしゃいませ」、前回が
「お邪魔してます」だから、お客から主人に変りましたね（笑）。今回初
登場のパーカッション、中島オバヲさんは武田鉄也風のロンゲがカワユイ
オジサン。狩野良昭さん、米屋の息子だったんですか（笑）、でもいまや
いづみさんのライブや作品には欠かせない存在。アルバムのプロデューサー
でもある高橋研はもちろんアルバムについて語ってくれます。

6.パンプキンソング
7.初雪

　そしてやっとニューアルバムからの曲、「パンプキンソング」。殆ど事
務所のスタジオで作った、とのことで、自分の好きなものに囲まれてリラッ
クスして作った作品、とのこと。そんなアットホームな作品。久々にピア
ニカ登場がまたウレシイ。更に、「初雪」では初のウクレレ演奏を披露。
そういやつじあやのさんもここでライブやったっけ（余談）。狩野さんは
マンドリン弾いてました。

8.好きになって、よかった
9.青空
10.美しすぎて
11.悲しくて

　ここから切な系へ、やはりライブの中心にはこの曲、「好きになって、
よかった」。狩野さんのギターが泣かせるのですよ。
　「青空」の前にエピソード。いづみさんのファンの一人が最近交通事故
でなくなられたとのこと。お父様がＦＣにメールで送って来たとのことで、
この曲はそうしたエピソードから生まれたもの？曲の終りにお父様からの
声が客席から。その声にジーンと来た人も少なくないだろう、そして当の
いづみさんも次の曲に行く前に涙を拭く仕草を。映画のワンシーンみたい
な時間が会場を包んだ瞬間。

12.ネガ
13.ロメオ
14.オットーの動物園
15.ＺＥＲＯ

　後半はニューアルバムから２曲、ノリの良さのまま、ライブには欠かせ
ない２曲でアンコール前を締めます。今回は狩野さんのギターがよかった
なあ、前半はサイケデリックな音色で夢空間を作り出していましたが、後
半はモロにロックなパフォーマンスを見せてくれました。やっぱりあのルッ
クス（ウェーブのかかったロンゲに無精ひげ）はエリック・クラプトンを
意識しているに違いない（笑）。平均年齢が高く、手拍子すらも控えめだっ
た観客も、ＺＥＲＯが始まったら総立ち、この一体感がタマリマセン。

ENCORE:
16.愛になって
17.君のこと
18.ドライブ

　アンコールの手拍子も結束力の固いファンが引っ張っていってくれます。
今度は青いロングスカートに白いシャツ。１曲目の「愛になって」は今月
下旬に発刊予定のエッセイ集「恋愛かもしれない〜好きになって、よかっ
た」付録ＣＤ収録の曲だそう。エレピの弾き語りで。この曲もよかったが、
やっぱり「君のこと」だ。いづみさん自身も「運命を変えてくれた曲の１
曲」とおっしゃるほどの、息を呑むような美しい曲。高橋研のギターにい
づみさんのボーカルが絡み、背筋が一瞬震えるのを感じた。大げさではな
く、この曲があるから８年もの間いづみさんのファンを続けてこれたのか
もしれない。
　最後は「ドライブ」。他のメンバーはツアーＴシャツで登場。いづみさ
ん自ら“第２のデビュー”とおっしゃった記念すべき日のライブ、素晴ら
しいの一言。早くレポを書かなきゃ、との思いに駆られて家路を急いだが、
今思えばなんで出待ちしなかったんだろう、なんでこのライブの良さをい
づみさんにフィードバックしてあげなかったんだろう、と考えてちょっと
後悔。