川嶋あいコンサート「旅立ちの朝」

　なかなか面白いアーティスト（アイドル？）だと思ってコンサートに
足を運んでみました。渋谷で路上ライブを続けてきたストリートミュー
ジシャンなのだが、まだ１７歳の高校生（と言うか、チェックのスカー
トに白いシャツ、と言う制服での路上ライブは、泥臭い印象が強くなっ
ている渋谷の路上ではものすごく新鮮に映る）、アイドル性も十分にあ
る。そういう意味では十分プロとして通用する人なのだが、この渋公で
のライブ達成までは路上のアマチュア、を通してきていた。
　考えてみれば、インディーズがメジャーを超えるケースもある時代で
は、ストリートミュージシャンがいきなり渋公、と言うのも驚くには値
しないのかもしれないが、とは言え、やはり現場を体験してみたい、と
言う欲望に駆られる（それにしても、この手の斜に構えた動機で行動す
るのは、こないだのコミケ探索といい、歳を食ってから遊ぶ言い訳かも
しれない:-)）。
　と、ついつい要らぬ前書きを書いてしまうが（苦笑）、18:30スタート
で19:00に到着（夏休み中だからスタートが早いんだよなあ）。渋公でや
る、と言うことは、相当の数のスタッフを用意しなければならない。が、
彼らは殆ど学生バイトらしい、そういうスタッフを集められる力も、実
は彼女の才能だと思う（もはやオイラに音楽性で才能を語る資格無し、
ぅか:-)）。さすがに当日券では２階席、ステージ遠かったなあ（涙）。
１階席は殆ど埋まっていたのではないだろうか。やっぱりストリートの
人がこれだけ集客する、と言うのは驚異だ（まぁでもオールナイトニッ
ポンやいくつかのティーンズ系雑誌では多少バックアップもしていたよ
うだ）。
　どんな感じの人かと言うと、一昔前のガールポップ。全て自作曲なの
で同性のファンも多いのだが、当然男子も多数。と言うか、小学生もい
ればオヤジもいる。路上と言う不特定多数の聞き手を相手にするアーティ
ストならではのファン層の広さが素晴らしい。今回はバックバンド６人
（！）を従えてのライブだが、基本的にエレピアノの弾き語りの人なの
で、やはりエレピ中心の楽曲が多い。この日は殆ど本人は歌うこと（ダ
ンス系の曲もある！）に専念していて、最後の最後でいつもの路上スタ
イル（もちろん制服！）で弾き語ってコンサートの幕を閉じた。
　ストリートの人がここまで大きくなってきた中で、“伝説”も数多く
作られている。１日で数百枚単位で売ったこともある、とかいうのもそ
うだが、高校進学で福岡から上京してきた、と言う苦労話がいかにもア
イドル伝説だ（本も出していたりする）。こういう美談はたとえ世間で
ダサイと避難されようと、強く支持する人は確実にいて、それが彼女の
人気を支えているように思える。いや、逆に私のような人間には、そう
いう美談が決して廃れないことに何かしらの安堵感を覚える。
　そうは言っても、とりあえずもっと世に受け入れられるには、単にルッ
クスや美談だけでなく、彼女を代表するようなポテンシャルのある楽曲
が必要になるだろうが、「天使たちのメロディー」はそんなポテンシャ
ルがあると思う。でも、これからも彼女には路上を続けていって欲しい
ような気もする、何しろ彼女が育った場所がそこなのだし、彼女の繊細
さから言って、泥臭いマスメディアと上手くやって行けるのかどうかも
心配だ。

　と言うことで、私の稚拙な言葉では彼女の魅力の十分の位置も伝わら
ないだろうし、ＣＤもプロデビューしていない現在（実は覆面でオリコ
ンNo.1を獲ったことがあるらしいのだが）なかなか入手困難なのだが、
渋谷の路上で見かけたらぜひ足を止めて聴いてもらいたい、とだけ言っ
ておきたい。そんな訳で、ＣＤショップでは変えず、路上ライブ中ある
いは本人のサイトの通販でしかＣＤを買えないので、ライブ後の物販で
は買えるＣＤは全て買った次第。

＃と言うわけで、３日後には椎名林檎で再び渋公に来る予定。:-)