From be1773@ni.bekkoame.ne.jp  Sun Jun  4 01:32:20 2000
X-ML-Driver: CMLD (Version 2.5)
X-ML-Count: 00338
X-ML-Name: music-fans
From: Cazou ACID Sanada 
Date: Sun, 04 Jun 2000 00:37:37 +0900
Subject: [music-fans:00338] Francois K
X-Mailer: AL-Mail32 Version 1.01
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
content-length: 2336

	Essential Mix / Francois K

　クラバーの基本常識としては、フランソワ・ケヴォーキアンといえば、ＵＳハウ
スのエッセンスとも言うべき、Joe Claussell, Danny Krivitとの３人で主宰する
日曜午後のパーティ、"Body&Soul"が何といっても有名だが、本来彼はハウスだけ
のフィールドにとどまらない活動をしている。その最たるものが、８０年代に
Kraftwerkの"Tour De France"のミックスを手がけたことだろう。黒人本来（と言っ
ても、彼は名前から分かる通り、ヨーロッパ人の血を持つ）のハウスグルーヴだけ
でなく、テクノの分野でも実は知られた存在である。
　で、このEssential Mixと言うＣＤ、現在の細分化され過ぎたクラブミュージッ
クシーンにおいて、このようなあらゆるジャンルの曲がミックスされると戸惑う人
が多いのではないか、と思う。Maurizioのような激ミニマルでスタートしたかと思
うと、Jephte Guillaumeのようなエスニック・ガラージ、かと思えばJames Brown
のファンク、と、聞き手の想像し得ないミックスが展開される。踊るにはちょいと
苦しいミックスだが、実はこれがガラージの本来の姿と言えるのではないか。
　今でこそＤＪと言えばクラブＤＪを指すが、以前はラジオなどのパーソナリティ
もＤＪと呼ばれていたことは説明するまでもないだろう。ガラージのＤＪは、更に
両者とも一線を画していた、と言っても過言ではないと思う。プライベートパーティ、
ホームパーティの場を盛り上げるためにＢＧＭをかける人、と言うのが一番近いよ
うな気がする。ここにあるのはミックスのテクではない、選曲のテクである。良い
楽曲をテクノ、ハウス、ファンク、ロック、ジャズ、あらゆるジャンルから分け隔
てなくチョイスして、その選曲でアトモスフィアを作り出す、そういう作業をこの
ＣＤで彼は行なっているのだ。だから、これはクラブミュージックファンのための
コンピレーションではない、ジャンルを問わず音楽が好き、と言うリスナーのため
に作られたＣＤ。逆に言えば、必ず音楽的ベクトルが統一された中でしかダンスミュー
ジックを体験することしかなくなっていた自分にとって、こういうセレクションで
フロアを盛り上げる、と言う、古いがしかし極めて新鮮な手法に、少なからず衝撃
を受けた。今年確実に３本の指に入る名盤になること間違いなし。

＃そう言えばそろそろ上半期チャートの季節だな（笑）。

----
Cazou ACID Sanada
	mailto:acid@po.globe.or.jp
	http://user.globe.or.jp/acid/music-fans/
Work hard until the sunset, play hard until the dawn.