From music-fans-request@mclaren  Mon Apr 15 19:04:33 1996
Date: Mon, 15 Apr 1996 18:35:58 --900
From: TIS Kazuhiro Sanada 
Subject: [music-fans:00299] Cocteau Twins

	Milk & Kisses		Cocteau Twins

  目に見えない不安にさいなまれている時に聴くエリザベス・フレイザーのボー
カルは見事なほどに僕の心を溶かしてくれた。まるで母親の胎音を聞くかの如
き、根源的な安心感を覚えてしまった。

  情報が溢れている時代に、言葉で感情を表現することは困難であることを越
えて絶望的ですらあるように思える。そういう時代に育った僕は、愛のようで
いて愛とは一線を画した、しかし極めて人間的なある種の感情があるような気
がしてならない。形而上的、アバンギャルドに見えながらも、子供のころから、
赤ん坊のころから、あるいはこの世に生まれる前からあったような根源的な感
情。もやもやとしてなんとも得体の知れないこの感情を、このコクトー・ツイ
ンズは見事に呼び覚ましてくれる。

  風の音、波の音、虫の鳴き声、鳥のさえずりではだめなのか?いや、実際に
は自然の奏でる音というのは恵みであると同時に脅威でもあり、経験の仕方に
よってはトラウマ=精神的外傷にさえなってしまう。その意味で彼らの音楽は
自然を越えた自然=スーパーナチュラルなのだと思う。

  それにしてもこのコクトー・ツインズ、80年代初頭のインディーズ・ブー
ムの初頭から活躍していたバンドなのに、いまだ現役、しかも音楽スタイルも
完璧なまでに首尾一貫している。過激な言葉を使わせてもらうが、彼らの純粋
さは気狂いじみてさえいる。だからこそ他の誰にも真似の出来ない個性的で素
晴らしい音楽が生まれる。もしかすると、彼らのライブを見ることが出来たら、
僕は死んでもいい、と思えるかもしれない。

E-Mail: sana@McLaren
http://192.110.1.180:8080/‾sana/
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                                             I am against C*D*A.

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