From be1773@ni.bekkoame.ne.jp  Sun Jan 30 22:57:06 2000
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From: Cazou ACID Sanada 
Date: Sun, 30 Jan 2000 22:54:57 +0900
Subject: [music-fans:00302] Sheena Ringo/Amuro Namie
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どちらも２６日リリースの作品。

	ギプス／罪と罰		椎名林檎

　５インチシングル２枚同時発売。
　昨年現れた天才３人を挙げろ、と言われたら、宇多田（好きではなくて
も、天才だとは認めてますよ）、成田光三郎(Sonic Dragologo)それと
この椎名林檎。今回は表題曲もさることながら、カバー曲「君の瞳に恋し
てる」が秀逸。このどうしようもなくスイートなラブソングをパンキッシュ
でありながら、しかし原曲の持つポップ性を壊すことなく解釈した林檎嬢
の音楽性は本当に興味深い。
　基本的には彼女の歌は、自分探しの果てに生まれた作品だと思っている。
一般の表現活動も簡単なことではないが、自分探しの発表なんて、これほ
どカッコ悪いものはない。それがこうして多数のリスナーの共感を呼ぶ、
と言うのは、妥協のなさの賜物だろう。デビュー前の高校時代の作品にす
でに英語詞の作品があって、それらが今回のシングルにも入っているが、
カッコつけるために音楽やってる連中にはとても真似出来ない芸当だろう
（彼女はHikkiのようなインターナショナルな育ち方をしているとは聞い
ていないが）。
　彼女の音楽性そのものは、海外でも通用するものだと思う。だが、本質
的な部分で彼女は歌謡曲体質でもある。「本能」のジャケで看護婦コスプ
レをしてみたり、独特の巻き舌の歌唱方法などを見れば、下世話さ、と言
うか、ニセモノっぽいいかがわしさを常に持っている。彼女のそうしたア
ンチ本物志向的な部分が僕はとても好きだし、それにもまして僕が共感す
るのは、歌詞の端々に見せる、自分が一人ぼっちであることを隠さない姿
勢だ。
　なんでみんなこれほどまでに孤独を嫌うんだろうか？僕からすれば、孤
独を怖がる人は誰かに頼らないと生きていけない甘ったれに見えて、正直
言って大嫌い。従って、小室的応援ソングは音楽的にワンパターンと言っ
た側面もさることながら、聞き手の弱さが浮かび上がるような詩が耐えら
れないからだ。彼女は流行の化粧なんかで自分を今風の女に見せたりと言っ
た技巧はしない。多少気性は激しそうに見えても、この人は素の自分をぶ
つけてくる、と言う信頼が出来る。そういう意味で彼女はとても“いい女”
なのではないかと思う。

	GENIUS 2000	安室奈美恵

　基本的には今回も小室哲哉プロデュースのアルバムだが、個人的には
Dallas Austinの作品にこのアルバムのアクセントがあるように思える。
大人のアルバム、なんて言い方ではボキャ不足だとは思うが、万人受け
する薄っぺらい部分を抜け出して、ディナーショーなどでのステージに
耐え得るような、パーソナルな部分での深みを持った作品が増えたと思
う。
　以前からも言っているが、Ｒ＆Ｂはアメリカ人の「演歌」である。若
者が独占して喜んでいるような歴史の浅い音楽ではない。それなのに日
本では思いきりＲ＆Ｂは流行物の音楽、と言う広まり方をしてしまった。
僕がＨｉｋｋｉの成功を素直に喜べないのはそのせい。だが安室さんは、
２２歳の若さとは言え、すでに母親なのだ。非婚主義的な生き方をして
いる自分が言っても説得力がないかもしれないが、これは人生経験とし
て凡百のジャパニーズＲ＆Ｂシンガーと一味違うはずだ。だから、ＡＣ
Ｏなんかもいい成長をしているＲ＆Ｂシンガーの一人だと思っている。
　いずれにせよ、シングルでは曲をもらってからレコーディングのアッ
プまでたった３日などというやっつけ仕事が多いのが好きではないのだ
が、アルバムになれば妥協のない、時間をかけた作品を世に出している。
復帰後のステージはイヤホンの調子が悪くて本領を発揮できていなかっ
た千葉マリンのステージしか見ていないが、３月からのツアーが楽しみ
である。出来れば、前述の通り、ディナーショーのような中高年層を相
手にしたステージなんてのも、彼女の新しい展開として期待したいとこ
ろだが、まぁこれは早すぎと言うものだろう（笑）。

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Cazou ACID Sanada
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