From music-fans-request@mclaren Mon Aug 11 10:28 JST 1997
From: Cazou ACID Sanada 
Subject: [music-fans:00028] Rainbow 2000 Mt.Fuji
Date: Sun, 10 Aug 1997 22:39:27 +0900
Content-Type: text/plain; charset="ISO-2022-JP"

	Rainbow 2000 Mt.Fuji

　昨年の大成功で、「９０年代のウッドストック」とも呼ばれるように
なった日本最大の屋外テクノ・レイヴ・パーティ、レインボー２０００
が今年も静岡県裾野市の日本ランドＨＯＷゆうえんちで行われた。今回
は白山（石川県？）でも行われ、西日本のレイヴァーはそっちに流れた、
と言う噂もあったが、どうしてどうして、今年もかなりの盛り上がりだ
と個人的に思った。しかも今回は大きな試練があった、悪天候である。
僕は小田急ロマンスカーあさぎり号を使って御殿場入り、そこから主催
者のチャーターバスで会場入りしたが、小田急線の途中から雲行きが怪
しくなり始め、チャーターバスで富士山を登り始めると（会場は富士山
三合目にある）濃い霧で非常に視界が悪くなる、と言う状態まで行った。
結局、濃い霧と強い風に見まわれた天気はパーティの最初から最後まで
続いたが、集まったレイヴァー達はそんな気象にも臆することなく踊り
狂ったのだった。７月末に行われたロック系野外フェスティヴァル「富
士ロックフェスティヴァル」では１日目は台風直撃の最悪のコンディショ
ンで行われ（死者が出なかったのが不思議と言われるくらいひどい状態
だったそうだ）、その結果２日目は中止に追い込まれるはめとなったが、
こちらは遊園地と言う性質上建物も多く、雨宿りもしやすかったので無
事だったのだろう、と同時に、夜中の３時頃に雨脚が強くなったにもか
かわらず、ひるまずに爆音に身を任せて踊り狂ったレイヴァーも数多く、
ネオ・ヒッピーたちの底力と言うものを改めて確認した。
　個人的にもっともインパクトが会ったのは、その夜中の３時頃にスピ
ンしてCosmic Ground（会場は大きく３つに分かれており、そのうちの一
つ）のクラウドを大雨にもかかわらず興奮の渦に叩き落としたSHINKAWA
さんだろう。つい最近自分のＣＤを出したばかりで、絶好調の時期であ
り、このプレイは後々まで語り継がれる可能性大だ。その後続のヨージ・
ビオメハニカのプレイも期待を裏切らなかった熱いプレイで、霧に包ま
れた真っ暗闇が明るくなり始めたのも、彼のＤＪ中だった。
  The ORBのライブも秀逸。基本的に踊る目的でこのパーティに参加して
いたので、彼らのようなアンビエントはメインターゲットではなかった
が、この霧がかった幻想的な風景に彼らのサイケデリックでミステリア
スなサウンドが見事に解け込んでいったのだった。おかげでもう一つの
注目ライブ、ハードフロアを見逃してしまったのはちょっと後悔。
　それにしても、やはりレイヴと言うのは他の音楽の屋外フェスティヴァ
ルとは雰囲気が全く異なる、と言える。一つはもちろん、メインが深夜
となるので、芝生に寝そべって日焼けしよう、などと言うリゾート気分
とは無縁（たとえ晴れていたとしてもね）。もう一つはファッション、
暑いからビールでも飲みながら大騒ぎしよう、と言うのとはちょっと違っ
て、多くのレイヴァー達はインディアンを思わせるエスニックでアニマ
ルチックなゴアファッション。彼らに似合うのはビールよりもむしろマ
リファナだ（と言っても、もちろん誰もそんなもの吸ってないが）。騒
ぐ、と言うよりも、見た目何かの儀式のように踊り狂っている感がある。
ゴアトランスがサブカル系の知識人（？）から注目されるのは、そうし
たパーティのイッちゃってる感覚なのだ。ここでは誰もが日本人と言う
感覚を見失い、未開の部族の領域に入り込んでったような錯覚に陥る。
下手な海外旅行なんかよりずっとスリリングでファンタスティックな経
験がここでは出来たのだった。

acid@po.globe.or.jp or sana@mclaren