From music-fans-request@mclaren  Sun Feb  2 23:42:41 1997
From: 真田一宏 
Subject: [music-fans:00384] Nitelife in Azabujuban and Minamiaoyama
Date: Sun, 2 Feb 1997 22:20:09 +0900
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　本当はAphex Twinライブ＠新宿リキッド・ルームを予定していたのだが、
前売りは売切れ、と言う情報に気が萎えてしまった。渋谷宇田川町レコ屋
巡り（僕にしてはかなり久しぶりだった、今年初めてかもしれない）で色々
フライヤを集め、補かにも面白そうなパーティがあることが分かると、久々
に小バコのハシゴでもしてみようか、と言う気になった。そもそも今夜の
リキッドルームは小バコ２軒分の入場料とられる高いパーティだったし
（苦笑）。
　先ずは麻生十番のMissionに向かった。DJ Patrickの"Chemical Disco"と
言うパーティ。ミッションと言うハコもパトリックのＤＪも初物だったの
で（パトちゃん世間では有名だけど、実は１回もプレイを見たことがない）、
結構ワクワクしながら深夜徘徊。さすがは麻布十番、六本木駅からの道が
よく分からず２０分くらいかかってしまった。おや、入り口には黒服が立っ
ているぞ、ここはディスコかい？と思いつつ階段を降りていく。案の定、
内装もディスコっぽいし（ＶＩＰルームがあった）、なんだか客層もナン
パ系のようだ（女はオミズ入ってる、男はパーティスーツ着てる）。とり
あえずそんなことは無視してフロアで踊り始める、アッパーなゲイハウス
でよいよい。
　２時くらいまでは回りのことは気にかけず暴走できたけど、疲れてくる
とこういう雰囲気ってすごく居心地が悪い、フォーマル着用のパーティに
カジュアルで入ってるようなもんだから。と言うことで２時半に退場、南
青山まで歩く事１時間（ふつうタクるでしょう、この距離は（笑））、
Maniac Loveのパーティ"Cycle"へ。こちらはミッションとは１８０°違う
雰囲気。ナンパどころか、談笑する人すらあまりいない、フロアではみん
な取り憑かれたように踊ってる。これがテクノのパーティだ、とばかり僕
も踊り狂う。
　やっぱりCycleってパーティは、世界のクラブシーンでも誇れる素晴らし
いパーティなんだと思う。今夜の２つのパーティの人種の差は極端だった
かもしれないけど、やはりアンダーグラウンドなクラブシーンの善し悪し
は、ＤＪの善し悪し以上に、客層の善し悪しが重要だ。なぜならクラブは
エンターテインメントじゃない、カルチャームーブメントだから。僕は６
時半で帰っちゃったけど、残っている連中は日が昇っても踊り続けた事だ
ろう。この激しさは、毎年百名を超す死者を出しても今も続いているリオ
のカーニバルと比較してみるといい。国際社会において、相手の事を言葉
以上の次元で理解するのは難しい。音楽や芸術はこれまでにも文化交流の
道具として使われてきたけど、共通言語まで行ったものが果たしてどれだ
けあるだろう？ところがテクノは共通言語どころか「共通宗教」の域に達
している感さえある、これはすごいことじゃないのか？
　テクノには神様＝大スターはいない。アンダーワールドのメンバーはレ
インボー２０００の会場内を平気で歩いていたそうだし、僕自身もクラブ
でケン・イシイの隣に座った事がある。神様はあなたの外側にでなく、内
側にいるのだ。音楽によってそれは呼び出され、昇天したようにあなたは
踊り狂うのだ、そういう宗教だ、テクノというのは。

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