DISKREVIEW: トルコ／コーラン朗謡とスーフィーの音楽 / トルコ古典音楽合奏団他

　単純に、新しい音楽に飛びつきたくなるようなものがない。歳のせいもあるし、
本当に音楽シーンが停滞しているのかもしれない(昔は１枚3,000円したCDでミリ
オンセラーが出てた時代と現在のネット配信で１曲250円で売っている時代では、
音楽の多様化なんて話とはいえ別に、音楽ソフトウェアに再投資される予算が大
幅に減るのだから、つまらなくなって当然)。かといって、自分はナツメロに走る
つもりもない。昨年の「ボヘミアンラプソディ」からのクイーンブームもわりと
冷めた目で見ていた。
　昨年はユーロビジョンソングコンテストからSalvador Sobral、Michal Szpakと
言うスターを見つけてのめり込んだ。しかし毎年のように新しい音楽の出会いが
ある訳ではない。
　と言うことで、「音楽」としての宗教暗唱。Youtubeでコーランの他、キリスト
教正教会の聖歌なども漁ってみたが(仏教系はあまり探さなかったな、別に身近に
お墓参りなどで聞いていたから)、個人的にはコーランの暗唱が一番シンプルで美
しいと思った。おそらく、キリスト教はいちおう偶像崇拝を禁止してるとはいえ、
十字架のペンダント、あるいはキリスト、マリア様、十二聖者などのイコン、絵画
はたくさんある。美術ではキリスト教が優れている分、偶像崇拝禁止が徹底してい
るイスラムのコーラン暗唱はその分研ぎ澄まされているのかもしれない。
　オフラインでも聞けるよう、CDパッケージを購入したが、CDの民俗音楽オタク向
けに編集された作品より、直接信徒に向けられて編集されたYoutube の暗唱の方が
質が高い、のみならず、長時間暗唱(10時間って！)なので１日中暗唱を流しっぱな
しにするなんてこともできる。まあCD にはCD の良さがあって、民俗音楽も収録さ
れているので、それはそれで良い。
　もともとブルガリアンヴォイスやジョージア男性合唱などで民俗音楽にも興味は
あったが、ネットのない時代には現地から直接配信される訳ではなく、欧米のフィ
ルターがかかった作品にしか触れられなかった(このCD もその範疇)。フィルター
がうまく機能していることはまれである。そうしたフィルターのかかっていない、
アラブ世界の生のコーランに触れることをおすすめする。ネットの時代にはそれが
可能だ。