From music-fans-request@mclaren  Wed Nov  6 22:41:02 1996
From: 真田一宏 
Subject: [music-fans:00365] Smiles & Tears
Date: Wed, 6 Nov 1996 22:22:22 +0900
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河崎さんをパーマネントメンバーに迎えての第１通。
＃ここはクラブＭＬではありません、真田の音楽ウンチクＭＬです（笑）。

	Smiles & Tears		加藤いづみ

　１曲目の「Ｚｅｒｏ」を聴いて、こういうナチュラルないづみさんは
久々だなぁ、と言うのが正直な感想（苦笑）。アーティストの成長を嫌
うわけではないが、変化にも２種類あって、「成長」と「背伸び」がそ
れだ。前作「Ｂｏｓｓａ」は個人的には後者に思えたのである。いづみ
さんにスノッブなジャズアレンジは似合わない。と、ここで文句を言っ
てもしょうがないね。
　加藤いづみは切なソング（(c)藤岡君）が得意なシンガーである。だか
らヒットチャートでの派手な活躍、と言うことは難しいけれど、その一
方で、昔のフォークの引きずるような暗さとも無縁。空気のような、目
立たないけどそばにいつもいるような存在。
　つまり、いづみさんの存在そのものが「背伸び」とはあらゆる意味で
無縁だと思っている。夢中で追いかける恋もしないし、無理に演じるよ
うな可愛さでもない。平均的な日常を歌っている。そういう歌を聴きた
いとき、彼女の作品は輝いて聞こえる。
　この人はライブが何といってもいい。ギミックのないステージでキラ
リと光るサムシングを持っている。体験する、と言うほど大袈裟なもの
ではないけれど、彼女自身がライブを楽しんでいる、と言うその場の空
気を共有することが素敵な経験になる。今年はクリスマスライブがない、
と言うことでとても残念なことだが、これからもマイペースでがんばっ
て欲しいアーティスト。

acid@po.globe.or.jp