[MOVIE] 聖なる泉の少女(ザザ・ハルヴァシ監督)@岩波ホール

　再び神保町へ戻り、岩波ホールへ。今年下半期もグルジア映画が日本にやって
来た。
　なんとも素朴で幻想的な映像詩。父親と娘は土着宗教？兄3人は神父(キリスト
教正教)、イスラム教徒、学校の先生、とそれぞれ異なる道を歩んでいるが、父親
は兄の誰かに自分が守って来た【泉の守り人】を次いでもらいたい、と言うおと
ぎ話。
　ぶっちゃけ、この素朴さはは途上国にノスタルジーなりエキゾチズムなりを押
し付けるオリエンタリズム的な出資者の思惑が感じられなくはないが、しかしこ
れは【多様性】と言う普遍的な価値観の摩擦を描いた物語だと思う。日本であれ
ば外国人労働者やLGBTの人々との関わりの中での問題提議だが、アジアとヨーロッ
パの境目ではシルクロードで異なる民族が出会ってきた中で異なる宗教の軋轢と
して描かれる、と言うお話。
　何はともあれ、主人公の娘役が絶世の美人だし(だからこそ、水とハンドケア
だけで傷を治すと言うおとぎ話に説得力が出る)、雪では被われた山脈の片田舎の
風景の美しさは極上だ、それを観賞するだけでも十分に価値がある作品。