[MOVIE] 七つの会議@TOHO CINEMAS 市川コルトン

　正月明けに中山競馬場に見に行った木下ほうかさんの映画のことをすっかり忘
れてた。公開から１ヶ月以上経っているので、映画館でも１日一回上映と言う感
じ。
　個人的には経済ドラマ映画なんて一番縁遠い作品。たまにはこういうのも、っ
てところか。
　不正隠ぺいにまつわる物語。必ずしもすべての企業が不正をやっている訳では
ないが、自分の会社人生でも、最初は希望の部署にいた(研究現場に近い部署)も
のの、やがてその部署は時代の流れで消滅し、より直接的にビジネス目的に特化
する部署へと異動した。世の中的にも不景気の時代に入り、自分たちの作るシス
テムは結局過剰人材を生み出し、リストラの口実に使われるのだろうと思うと、
根本的に職業意識は低下し、こうして非正規雇用となった訳だ。物語の主人公は
幸いにもお荷物社員ながらも会社に残っていて、不正の暴露までこぎ着ける。そ
もそもフィクションだから、現実としてなかなかあんなうまくは行かないとして
も、共感するところは多い。
　世間一般を目に移しても、レオパレスやら日産やら、企業の不正発覚はなくな
らない。何よりも、こうした最近の問題以上に、福島原発事故以降の東電みたい
な体質が許せないし、そもそも企業以上に、企業活動にお墨付きを与える中で様々
な癒着をする行政や政治が許せない。
　ぶっちゃけ、社会の中心に行くより、この主人公みたいに崖っぷちに立ちなが
らこのような社会の欺瞞や不正を告発することの方が、自分には圧倒的に強い使
命感を感じる。まあ、これは典型的な自分のような人間のヒーロー物語だな。
　キャストも文句のつけようがないくらい完璧。現代社会の大河ドラマとして、
重厚な存在感を持った役者が揃う。その中で、飄々とした異色の存在感を放つ野
村萬斎さんは最高。