[MOVIE] une vie女の一生/Stephane brize監督@岩波ホール


<2017/Dec/17(Sun)>

 と言うことで、昼間の空き時間(って、そもそも休日ですが:-))に映画館へ。
仕事の合間に見る映画ではないけど。
 上流階級の女性が没落していく様を描いた大河ドラマ。妹の夫との不倫で子ど
もをもうけたがわがままな息子に育ち、さらにその子は大人になって事業に失敗
し、返済のために家を失う。
 日本的に解釈すると「他人の不幸は密の味」的な下世話で野暮ったいテーマだ
ろう。それがフランスの文豪モーパッサンGuy de Maupassantの作品となると話は
違う。これほど哀しくも美しい話(+映像)が他にあるだろうか、と言う作品に
なる。
 偉そうなことを書いているが、若い頃だったらなんだこりゃ?としかきっと思
わなかっただろう。バブルから不景気に向かう時代に人生を歩んできたことで、
この哀しさ、美しさがズシンとくる。
 とはいえ、チェーホフАнтон Чеховも「桜の園」で上流階級の没落を
描いていた。まだそれほど人生の辛苦をなめていない時代にもある程度“散り際
の美学”(こう書くと“サムライ道”かと思われるかもしれないが、むしろ日本
的には“桜”の美学である)は理解したが、やはりこの歳まで生きて分かる文学
なのだな、と思う。