[MOVIE] L'Ombre des Femmes / un film de Philippe Garrel @ シアターイメージフォーラム(渋谷)


<2017/Feb/16(Thu)>

 ヌーヴェルヴァーグの監督が現役で作品を撮ったのは観とかないと。邦題が
「パリ、恋人たちの影」と言うのも流行らないなw。とはいえ、通り一辺倒の恋
愛映画ではないと思うから観に来たのだ。観客もカップル率低いし(渋谷の街を
歩いてる方がよっぽどカップル率高い)。トリュフォーやゴダールに比べると日
本での知名度は決して高くはないが、むしろアイコンとして消費されていない分、
今でも新鮮な存在。ヨーロッパの映画監督は80、90になっても性的な洞察を尽く
した作品を止めない(ガレルはあの世代でまだ70行ってないのでむしろ若手だw)。
 要約すると、ダブル不倫の男女の物語。恋愛に夢を持ってる人は観ちゃいけま
せん(笑)。で、伏線でレジスタンスの闘士の話が絡んでいて(男の方が映画で
ドキュメンタリーを撮っている)、ヌーヴェルヴァーグかどうかに関わらずフラ
ンス人と言う人種が恋愛と政治をフラットな視線で観ていることが、日本人の私
たちが刺激を受けるところである。
 モノクロなので一瞬古い作品かと思いきや(男もいまだにフィルムにこだわっ
ているようだ、アナクロな趣味だ)、携帯もユーロも出てくるので舞台は21世紀
ではあるようだ。
 裏切り、裏切られる、まさにこの政治的なヨーロッパの地勢学と男女の駆引き
とがフラットな視線で捕らえられることの根源。いちおう娯楽作品なのだろう、
ドロドロの不倫劇場の結末にまさかのハッピーエンドだ。まさにフランスの恋愛
映画はしたたかだ。