[ART] Pierre Auguste Renoir ルノワール展＠国立新美術館

　ルノワール展を観に六本木の国立新美術館へ。GW中は混むだろうな、と思い、
１週外したら、この好天でもほぼ並ばずに入れた。
　印象派の代表的画家である一方、まさにルノワールその人自体がジャンルでも
ある、そのくらい他の印象派画家から突き抜けている作品の数々。
　対象を描いていると言うよりも、幸福感、至福感を描いている、と言っても過
言ではない。もはや彼の筆致を目の前にして、批評や評論と言う言葉は意味をな
さず、ただただ淡く柔らかく、手に取れるかのような生き生きとした画風がもた
らす至福感に身を委ねるのみ。混んでいないと言うのに、観賞にたっぷり２時間。
やはり画集は買わざるを得ない。
　肖像画を注文するような人たちは当然ながら裕福な人々、そうした肖像画にも
嫌味と言うものが全くない。写真のない時代の風俗を知るにはそうした富裕層の
残した肖像画や風景画、風俗画を通じてしか知ることができないのだから仕方な
いのだが、ルノワールはそうした背景抜きに当時の“豊かさ”を伝え、その豊か
さがもたらす幸福感を絵筆に込めている。
　ルノワールは２人の息子を戦場に送っているが、だからこそこの平和な時間に
包み込むことに成功したのかもしれない。その息子ジャンも映画監督として名声
を残しているが、まさに目指していたものが同じで、絵筆をカメラに持ち変えた
らこういう作品になった、と言うのが分かる。
　いずれにせよ、印象派好きは見逃せない展覧会。

　ルノワール展おまけ。今回の展示の目玉である「Moulin de la Galette ムーラ
ン・ド・ラ・ギャレット」、この地はまさに今週の街活ABCで取り上げた“そば粉
版のクレープこと・ガレット”の発祥の地だそうだ。