[MOVIE] Leos Carax's "Holy Motors" @ Eurospace

　レオス・カラックス監督の新作を観に渋谷ユーロスペースへ。公開から３週間
経っているが、カラックスの新作だけに満席の可能性はあった。果たして、ほぼ
満席でギリギリセーフ、思い切り端の席しか空いてなかったけどね。上映10分前
の到着。
　疲れて寝ちゃったせいもあるけど、久しぶりに難解な作品を観た気分。ドゥ
ニ・ラヴァン扮する男がなんの仕事か知らないが様々な人物に変装し、女を誘拐
したり人を殺したりなどの奇怪な行動をする物語。ストーリーが理解できない一
方、カラックス美学は徹底的に貫かれている。美女は誘拐に全く動じないし、変
装美人もまた、理由不明の自殺を遂げたり、脈絡がないほどに映像の美しさが際
立つ。こんな映画、家の小さな画面で観てもつまらないよね。
　強いて言えば、主人公は変装することでヴァーチャルな存在となっていて、匿
名性の強さで人々が乱暴に振る舞うネット社会への皮肉のように思える。こんな
時代に映画はどんな役目を果たせるのか、そんな困惑した時代に従い、カラック
スもまた混迷した難解な作品を産み落とした、と言う感じ。
　帰りは副都心線を使ってみるが、まだ東横線客は慣れていないと言うか、なん
だか混乱を感じる。以前だって渋谷はいつでもカオスな街だが、東横線の地下駅
はまだ当たり前の喧騒ではない不安を覚える。