[MOVIE] ムカデ人間@渋谷シネクイント


<2011/07/25(Mon)>
 先週の範田紗々ちゃんの官能怪奇映画上映会場でもらったチラシでがぜん観た
くなった作品。レイトショーに渋谷パルコパート3の9階のシネクイントへ。マ
ニアックな映画なので変人が集まるのかと思いきや、学生さんがグループやカッ
プルで観に来ているのは意表を突かれた(まあホラーと考えればそうか)。
 なるほど、このドイツの田舎の森を舞台にした(セリフは英語)映画がウケる
訳が分かった、ムカデ人間の中の1人が日本人で、しかも関西弁とは、監督は明
らかに日本でウケることを狙っているな(笑、実際女子大生の皆さんが爆笑して
る)。
 しかしホラーに興味のないオイラがそんなB級の笑い目当てで観に行った訳で
はない(確かに面白かったが)、この作品はシャム双生児を切り離した医学博士
が逆に複数の人体を1つにすると言う狂気がモチーフ。シャム双生児と言えば化
学爆弾の影響で生まれた子供だったと記憶している。つまり、今の日本の放射能
汚染状況にも似た境遇であると言うこと。そういう着想に取り憑かれる科学者の
狂気がどう描かれるのかを知りたかった。実際にはホラーと言うことで、博士が
シャム双生児の手術をした成果があること、人間嫌いなことだけが明らかにさ
れ、後はやはり恐怖を煽るためひたすら不気味な存在感が際立っていた。
 現実世界で実際に原子爆弾や化学爆弾を作った科学者はどのような狂気をはら
んでいたのだろうか?この映画の主人公のようにあからさまな狂気を見せること
はないにせよ、結果を想像すれば彼らにも同様の狂気があるはずだ、だからこの
映画を笑い飛ばす気には到底なれない。この作品は前述のようにホラーあり、笑
いありの娯楽作品だが、本当に怖いのはお化けや迷信ではなく、人間の狂気が一
番怖いことを今一度確かめさせてくれる作品。