[MOVIE] ８日目の蝉＠東宝シネマズ市川コルトンプラザ

　今日は何だか井上真央デーな気がするが（笑、「おひさま」の後の「あさイ
チ」にも出演してたし）、お目当ては真央ちゃんではなく、森口遥子オネエサマ
だったりする(^O^) 銭湯帰りにそのままニッケコルトンプラザ内の東宝シネマズ
へ。レイトショーは1200円で観れるのでお得。
　全く物語についての予備知識なしで鑑賞、なかなかヘヴィな内容だった。内容
的にはアッキーナ目当てで観てる（ォィ）NHKドラマ「マドンナ・ヴェルデ」に
近い、出産がもたらす事件の物語。
　私はどうしても出産を男子目線で考えてしまうから、少子化うんたらなどと大
上段な話にしてしまうが、母と子はお腹の中でつながっている時期があるから、
男には想像できない子への絆の強い渇望感がスクリーンから溢れ出す、誘拐する
女は犯罪と言う形で、誘拐された子の実の母親は失われた絆を取り戻せない苛立
ちをヒステリーと言う形で。
　したがって、この映画では男は徹底的に排除される。男は常に浮気をする悪者
として描かれ、更に肉体関係まで進んだ男を前触れもなくフってしまう。そうい
う男と女の力関係に目が行ってしまうが、いずれにせよ、バランスの悪い家族の
欠乏感は満たされない。
　主人公が子どものシーケンスと大人になってからのシーケンスが交互に進む。
前者は誘拐女の逃避行として、後者は過去の自分を振り返る自分探しの旅とし
て。いずれにせよ、瀬戸内海周辺の美しい風景がスクリーンを彩る質の良いロー
ドムービー。
　役者の感想。先ず森口遥子オネエサマ、「インディゴの夜」では気っ風の良い
姉御肌のカッコイイオネエサマでしたが、ここでは我が子の絆を奪われた母親
役。ヒステリーを爆発させる時の緊迫感もすごいが、あの痛々しいほどに老け込
んだメークはショックだった。さすが、役者と言うものはここまで自分を変えら
れるのだなあ。井上真央ちゃんもすごい。始めは確かに「あっ、須藤陽子だ！」
と思ったが、複雑な幼少時代を送った人間特有の冷めた感じ（と言うか、疲れた
感じ）はむしろ「チョコラBB」のCMの真央ちゃんだった。この人の女優魂が良く
分かる作品。
　結論、日本社会の少子化が言われて久しいが、女性が子どもを欲しがらなく
なった訳では決してない（自分の生き方を自分で決める時代になって子どもや家
族を持たない選択をする人も一定数いるが、女性全体が子どもを欲しがるかどう
かは別の問題）、むしろ子どもを取り巻く環境（不妊等の問題も含め）が複雑化
して産んだり育てたりすることが難しくなった分、子どもを渇望する度合いはま
すます強くなっている、と考えさせられる作品。２時間半とかなり尺の長い作品
であり、現代女性に向けた大河ドラマ。