[MOVIE] 100,000年後の安全 INTO ETERNITY / Michael Madsen監督

　静かなホラー映画を観たような後味。ポレポレ東中野で観たチェルノブイリの
その後を描いたのとは正反対に10万年と言う気の遠くなるような未来まで放射性
廃棄物を埋葬するための地下施設（オンカロ＠フィンランド）についてのドキュ
メンタリー。
　世界で最も歴史ある建造物、ピラミッドですら高々５〜６千年の歴史に過ぎな
い。そもそもその時代に人類は生き残っているのか、全く違う種が人間に代わる
知能を持って暮らしているのか、それすら想像できない遠い未来まで放射性廃棄
物を封じ込めると言う途方もない計画。BGMにKraftwerk“Radioactivity”が使
われる他、Arvo Pertoの現代音楽が人工的な地下施設の内部の映像に冷たく響
く。
　これは原発事故の話ではなく、安全に運転していても発生する廃棄物の処理の
問題。６万年後に予想される地球の氷河期を超えてなお残る「新しい火」の利用
の発明の代償。やはりこれは正真正銘、最悪のホラー映画作品だ。劇場（ヒュー
マントラストシネマ有楽町）にプログラムが売っていなかったのは残念。
　行く途中で福島のお酒や野菜を売っているテントを見た。結構外出しているつ
もりでいたが、こうして被災地の即売会を見て、テレビでは分からない震災を実
感した。