[MOVIE] キャピタリズム/マイケル・ムーア監督


<2010.01.11(Mon/Hol)>
 と言うことで久しぶりに映画をハシゴ。さっきの仮面ライダーから一気に年齢
層が上がる(笑、政治エンターテイメントなんて、昔は学生が一番好んで見に来
るものだったのにな)。
 さて映画の内容についてだが、これだけの社会的、歴史的考察には、資本主義
の批判ながら、皮肉だが金を出さないとたどり着けない(むしろ映画より書籍や
講演などにだろうが)のはやむを得ない、と言うこと。まあそのことは大したこ
とではない。この作品を観ると、アメリカにも社会主義者は結構いるんだな、と
言うこと。日本も今や中道右派の二大政党制になってしまったが、左派がまとも
な政党を運営できないこと自体が格差問題なんじゃないか、と思う。
 経済、金融の世界からこれだけのインタビューをマイケルムーア監督が1人で
取ってきたとすれば、これは大したものだ。放送局、新聞社などのメディアであ
ればそれなりの人脈ネットワークを持っていて、つてをたどってインタビューを
取る訳だが、この人はいわゆるアポなし突撃インタビューもかなりある。だから
こそ芸人的エンターテイメント。
 もちろん日本のニュースメディアもエンターテイメントだが、決定的に違うの
は、アイロニーの有無じゃないだろうか。アイロニーと言うのは「私たちは国民
の皆さまの意見を代表しています」的なチープな正義感で実はちゃんと国民の意
見を聞いたのかどうか疑わしいものではなく、「オレはこう思って、こうすると
面白そうだからやっちゃいましたよ」と言う、対話的な姿勢の語り口なのが良
い。
 ウォール街の巨大企業に「捜査中につき侵入禁止」のテープを貼って回った
り、アポなし突撃インタビューを刊行したりするあたりは、彼は映画監督以前に
芸人だと思う。逆に言えば、芸人が政治に口出しするのは娯楽のあり方としては
とても健全だと思う。